今期前半は過去最高の受注台数を記録したANCAジャパン。来年5月にはオープンハウス実施。目玉となるのは極小径用「MicroX ULUTRA」。

ANCA Machine Tools Japan

ANCA Machine Tools Japan

メルボルンの街並写真を背景にインタビューに応じる板倉社長

 前期は特殊仕様で実績を重ね、台数ベースでは減少したものの、売り上げが拡大した。今期はどうか。前半を折り返していくタイミングで、板倉社長を訪問し、7月~12月の業容、業績に絡む特徴に触れてもらいながら、後半の展望を語ってもらった。

12月受注分から価格改訂の影響もあっただろうが、11月は5台のFX5の受注を見た。
「このほか、今期前半では1社からの複数台受注、10月のメカトロテックでの受注、さらに韓国、タイ、ベトナムなどの海外案件も寄与し、半期ベースで過去最高だった2023年上半期を凌駕する受注台数を記録した。顧客にとっては弊社の機械に対する値ごろ感が好感され、他社からのリプレースが進んだものと理解している」と指摘する一方「前期に比べて、特殊ニーズ対応が大幅に減少した分、台数ベースで増加した、需要の変化も影響しているだろう。2年越しの案件も今期前半で具体化した」。
値ごろ感に関し、参考までだが、2013年から2023年までANCAの工具研削盤の価格は据え置かれ、ようやく2024年、2025年と、前述した5%前後の価格改訂がなされた。
「物流や仕入れコスト、人件費上昇を考慮した全世界共通の価格改訂となる。私が2020年にANCAジャパンの代表に就任した際、日本円での価格設定をした。当時の為替レートのまま、今も定価設定をし、25%上昇したオーストラリアドルの影響をお客様に負担させたくない」。
前半も間もなく終えて、後半の2026年の幕が上がる。展望はどうか。
「予測は難しいが、下半期も高原状態を狙っていきたい。5月にはオープンハウスを実施し、ナノレベルの精密研削が行えるMicroX ULTRAを披露させて頂く。生産性の高さはすでに実証済みで、φ0・03ミリ~φ6まで対応する。極小径に拘るユーザー様から、成約への手応えは、すでに感じている。振れ自動補正機能が搭載されているのも差別化の一環で、その場で体感頂ければと思う」。

主な仕様は、
▽ナノメートルの軸分解能
▽最適化された軸移動により、ミクロン単位の工具研削が可能
▽砥石交換を含む工具セットアップの迅速な変更
▽迅速な砥石交換と最大8つの研削砥石へのアクセス
▽マイクロツールの連続生産‐など。

オープンハウスではこのほか、砥石成形機や工具の画像測定顕微鏡なども提案される予定だ。

ANCAの工具研削盤のラインナップを改めて記すと、高性能なMXシリーズ、入門・中級者向けのFXシリーズ、難度の高いアプリケーション対応機TX7、ギア加工用GCX、そしてタップ専用のTapXなど、多様なニーズに応えられる多様な製品群を擁している。