今期は「カスタマイズ機」激増のANCAジャパン。台数ベースで前期比30%減も、売り上げはプラスに。 来期の課題はシェアップ

GCXリニアの加工サンプルを確認する板倉社長
6月の期末を迎え、今期をどのように総括するのか、来期の課題等も含め、板倉社長を訪問してヒアリングを試みた。
カスタマイズ機の拡販が今期を特徴づけたと言う。
「台数ベースでは30%程度の落ち込みを見たが、売り上げは前期比プラスαを記録。標準機に飽き足らない顧客からの要望による特殊仕様が増加し、ひとことで言えば、客単価があがったことになる」。
ここで日本市場におけるANCAの歴史を紐解くが、1996年にANCAの初号機が日本で稼働スタートし、来年には30周年を迎える。日本でも、相応の歴史を刻んできた。
「オーストラリア本社も認めるが、日本市場は、当初から需要のレベルが高い。量ではなく、質を求める。エンドミルやドリルと言った一般的な工具種でも、特殊仕様ニーズが高く、日本市場での競争の激しさを伺わせる事例となろう」。
最近では、人手不足や自動化ニーズの進展に伴い、AIMSが日本市場でも注目され始めた。
「切削工具を製造するための全工程を有機的に連携し、自動化を推進していくことを目的とする。高い機械稼働率、工具測定・補正によるスクラップの削減等に寄与する一方、搬送用のAMRやパレタイジング用コボットなどのロボット活用による連結作業の自動化も視野に入れている」。
一例、また一例と、工具メーカーを中心に検討、導入へと、扉が開き始めた。
「5×10、10×10といった限られた空間での自動化の追求ではあるが、徐々に認知度が高まってきた。今思えば、2年前のメカトロテックで披露させて頂いた効果が出てきたように思う」。
7月からは新たな期に入る。
「来期は新規開拓、シェアップが課題となる。ANCAの日本でのシェアは、せいぜい20%程度、伸びしろは十分にある。他社との差別化の基本は、弊社のソフトの利便性の高さ、優位性にあり、ZOLLERやその他の測定器で測定した工具データを研削盤に転送し、弊社のソフトウエアである『RN35』を駆使すれば、完全コピーができあがるレベルだ」。
ファンを今一度、うち固めると言う点では「古い機械の更新需要を刺激する一方、オーバーホールの提案や新たに導入する研削盤の本体価格からの値引きが期待できる引き取りビジネスの強化にも配慮していきたい」。
因みに引き取った研削盤はリビルドされ、中国やインド市場で販売されると言う。
工具メーカーへの最近の納入実績を見ていると「~ウルトラ」が目立つ。ラインナップの中でも代表的な存在がFX7ウルトラだが、FX5ウルトラも一定の需要を持ち、根強い支持を集めている。
「工具研削面の面粗度、品質の良さはもちろん、チッピングも少ない。今後、工具メーカーは『ウルトラ』にシフトしていくことになるだろう」。
微細工具製造を後押しするマイクロXウルトラが10月開催予定のメカトロテックで出展を計画。日本の工具ユーザーのサンプルをすでに手掛けており、評価を頂いてると言う。
「100分の3ミリから対応可能な極小径加工用の新世代マシン。乞う、ご期待!。そして、もう1台が、世界販売の20%を日本市場で占める人気機種、GCXリニアを披露する。スカイビングカッター等のカッター研削盤だ」。
ギア加工の精度では高評価を得ている