溝入れ、旋削各システムの新製品販売をスタートさせたワルタージャパン
インサートチップGD26(左)とホルダーG5011(右)
ワルタージャパンは、2024年の第2弾となる「新型溝入れ加工システムなど旋削工具を中心とした」新製品を発表、10月15日から販売を開始した。
「Groove.tecTM」と名づけられた溝入れ加工システムは、チップのクランプ面をダブルセレーション(両面鋸歯)とすることで、従来以上に強力な拘束を可能とし、チップ材種もPVD/CVDコーティングを施した新材種が追加された。
広報担当者は「弊社製品は、日本のマーケットにおいても、自動車、建機、重電、一般部品加工など、様々な業種のお客様に導入頂いており、新製品投入により、一層充実した溝入れのソリューションを提供していければと思っている」と語る。
製品の特長について、改めて取り挙げたいのが、チップのクランプ方式だ。
一般的なチップクランプ方式では、切削負荷の高い加工で、チップの拘束力不足に起因する突発的な工具破損や工具寿命の低下の恐れが否定できなかった。
「新製品に採用されたダブルセレーション形状(特許出願中)は、チップの上下面とホルダの設置部に彫り込まれたセレーション(鋸歯)が噛み合うことで、強力なチップクランプを実現した」とのクランプの優位性を指摘しつつ「特に重電やエネルギー関連の重切削加工や横引旋削、断続切削が必要なカムシャフト形状のワークなどで傑出した生産性を発揮する」と、特に特長が発揮できるターゲット層を明確にした。
仕様展開と性能については、2コーナー使いでチップ幅は2・5~6・0ミリを展開し、シャンクサイズは16ミリ、20ミリ、25ミリを展開する。内部給油クーラントに対応。
溝深さでは26・5ミリの加工まで対応し、最大でφ52ミリの突っ切り加工が可能だ。
Groove tecTM専用チップのレパートリーの拡充も要チェックで、汎用PVDコーティング材種に加えて、鉄・鋳鉄系ワーク用CVD材種WKP13G/WKP23G/WKP33Gに6種類のブレーカ形状との組み合わせで計18種類のチップを新たに展開する。
「カムシャフトの溝入れ加工を実施したユーザー試験で、他社製と比較し、工具寿命がおよそ3倍になった事例もある」。
溝入れシリーズと同時発表となったヘッド交換式の旋削工具システム「WEシリーズ」も取り上げたい。
「先端のヘッドを交換するだけで、最大11種類の旋削加工に対応。小径ボーリングバーのラインナップ拡充とともに、複数のボーリングバーを使用されているお客様に、工具集約によるコストと管理工数の削減に寄与できればと思う」。
WEシリーズは、小径ワーク内径の溝入れ、端面溝入れ、各種ねじ切りなど、幅広いアプリケーションを展開。最小φ7ミリのボーリング加工が可能だ。
「切削効率を高めるため、ヘッドのカップリング部を工具の芯高より下方向に配置。これにより、ヘッドの超硬母材がより分厚くなり、優れた剛性および加工安定性をもたらす」。
ヘッド交換式旋削工具システムWEシリーズ