江越マーケティング担当に聞くワルター製品の競争力
江越マーケティング担当
- ものづくりの企業を取り上げる場合、拡販のための営業戦略・戦術の重要性を語る前提となるのが、製品の競争力だろう。ワールドワイドで展開するワルターにあって、現在、日本市場で、どのようなアイテムに評価が集まっているのか、テクニカルトレーナーを兼務するマーケティング担当の江越保博氏に取材を試みた。
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- 2016年において、好反応を得た製品として江越氏から真っ先に挙げられたのが「Walter Turn精密クーラント工具」だった。
- 「内部クーラント機構を搭載したホルダーで、ツインクーラント方式による給油タイプ。クランプ駒からスクイ面、シャンク本体から逃げ面へと、それぞれピンポイントの正確さで刃先を捉え、チップ寿命が2倍以上伸びるという実績が最大の差別化になっている。また、ねじ締めが一ヵ所で行えるリジットクランプという、剛性の高さのみならず、使い勝手の良さも評価ポイントに挙げられるだろうか」。
- 被削材としては、ステンレスや難削材の加工で重用され、産業別では、航空機、ポンプ関連の業界などで、人気を得ているそうだ。
- このホルダーと並び立つ製品競争力を有しているのがミーリングカッターの「Walter BLAXX」。
- 「フェースミルのM3024は、14コーナー使いの高生産性を誇るミーリングカッターで、昨年から販売を本格化。耐熱合金の加工分野で着実に地歩を築いてきたが、とりわけ、ターボチャージャー向けのミーリングカッターとして、市場で広がり、評価が高まっている」と言う。
- 日本市場で現在、「旬」とも言えるターボチャージャーでの実績は、ワルターの、日本での知名度を上げていくうえでも、有効な手立てとなるだろう。
- 「日本市場そのものがシュリンクするなか、この2つの製品は、当社のシェアアップの『原動力』の役割を果たしてくれている。競合他社の製品に競り勝ち、当社の、ほかの商材の浸透にも影響を与えている、まさに日本における戦略製品に成長した」。
- このほか、最近3か年で市場浸透し、受注を毎年伸ばしてきたアイテムに溝入れ工具が挙げられた。
- 「中小~量産現場まで、幅広く受け入れられ、工作機械メーカーにも採用が増えてきている。コーティング力に裏打ちされた刃持ちの良さに定評がある」と言う。
- ワルターと言えば、コーティングを何よりも重視するメーカーとして有名だろう。
- 2001年に「タイガーテック」(第一世代)、2009年に「タイガーテック・シルバー」(第二世代)、そして、昨年のJIMTOFで「タイガーテック・ゴールド」(第三世代)がリリースされた。
- 「最新のコーティング技術を駆使していくことにより、リリースされる様々な製品の耐摩耗性と靭性を両立させていく。タイガーテック・ゴールドは、PVDのような膜が、CVDの手法を用いて生まれたもの。言わば両者の『いいとこ取り』。昨年のJIMTOFでは、ポテンシャルユーザーと親しくなることを大きなテーマに掲げたが、同業他社メーカーからのブース来場も多く、『注目』と言う点での幸先の良さを感じた次第。今後、2年間、最大の目玉として、アピールしていきたい」。
- ワルタージャパンでは、サンプルテストや試削りの対応も積極的に行っている。
- 「日々、より良いものをつくっていきたいーそんなニーズに応えつつ、横展開していきたい」‐穏やかな口調ながら、その端々に意欲を感じた。