鉄系ワーク用最新旋削工具材種をリリース 自動車業界に照準合わせたワルタージャパン
江越テクニカルトレーナー
- コーティングによってさまざまなドラマを生み出してきたワルターの最前線に位置付けられる第三世代コーティング「Tiger・tec®Gold」。ミーリング向けに続いて、旋削用途に特化した新たなバージョンが開発され、このほど、鉄系ワーク向けの最新旋削工具材種に適用された。
- ワルタージャパンの江越テクニカルトレーナーは「旋削加工向けコーティング開発にあたって、工具寿命の従来比3割~4割アップを目標としたが、結果として5割以上の長寿命化を達成した。切れ刃とワークが常に触れ合う高温状態が常に発生する旋削加工でTiger・tec®Goldの耐摩耗性が実証できたとも言い換えられようか。きめの細かい緻密なコーティング膜が形成され、及第点に留まらない、予想以上の合格点が付いた形かと思う」と自信を覗かせる。旋削チップはISOによって形状は決められているものの、チップにトラの模様がデザインとして落とし込まれているのが興味を惹く。 鉄系ワークとなれば、勢い、主戦場は、自動車関連産業となるだろう。
- 「ワルターにとって、鉄系旋削加工は従来あまりシェアの高くない分野であり、グローバルでの浸透を図っていく計画。ジャパンとしても、工具の長寿命化といった、独自技術の普及を念頭に置いて、直接、ユーザー攻勢をかけていきたいと考える」。
- フィールドテストでは、ドライブシャフトの外径旋削加工など、自動車分野の部品加工で結果を積み上げてきた。
- 「ジャパンでは、来年から東中西の3エリアにてユーザー講習会を順次実施していく一方、顧客の現場を訪問して試削りの機会を得ながら、新材種の効用を目の当たりにして頂けるよう、努めていきたい」。
- ワルタージャパンの今期の状況は、昨年の「反動」もあり、回復しつつあるものの「まだら模様」は否めないと言う。
- 「航空機分野の冷え込みが継続するなか、未だに復活というレベルには到達していない。中部エリアの早期回復に期待し、自動車関連分野の開拓、深耕に注力しながら、2022年を展望していきたいと思う」。
- ハードソフト両面でも、中部エリアの拡充を計画している。新規分野の開拓は、コロナ禍においてワルターだけの課題ではなく、工具業界全体のテーマでもある。
TIGER·TEC®-GOLDテクノロジー
新材種のチップにはトラの模様が施されている