日進工具からCBN工具の新製品、SMB200リリース。最小で100分の1R実現
後藤営業部長
インターモールド東京会場に後藤勇二営業部長を訪ね、近況を素描してもらいつつ、定評ある技術提案や新たにリリースされたCBN工具「SMB200」の特長とポテンシャルユーザーへの期待、さらに、日本で残るものづくりについて展望してもらった。
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自動車生産の不安定、半導体関連の落ち込み・・・金型メーカーにとっても、新しい仕事が昨夏辺りから流れにくくなってきた。
「金型需要の落ち込みに加え、原材料や電気代の高騰、円安などにより、昨12月以降からは、弊社も厳しい状況に直面してきた。ただ、1月、2月で底を打ったのか、3月からは上昇に転じ、今期は、後半に向けて新しい提案ができるよう、9月までは、しっかりと準備を整えていきたいと思う」。
日進工具と言えば、技術的メリットを見出せる提案に魅力を感じるユーザーが多い。たとえば「磨き加工時間の短縮」が挙げられるようだ。
「コーテッド超硬で荒・CBN工具で中仕上げまで、工具を摩耗させずに仕上げに繋げていく。そしてPCD工具による(超)仕上げで磨き加工の短縮を実現させつつ、手作業に要する時間を極限にまで削減する」。
切削加工で磨きレスの一歩手前まで、PCD工具とCBN工具を組み合わせて実現させてしまう。表面はまさに鏡面のようだ。
6年前から顧客にCBN工具とPCD工具・ツールパスをセットにした「トライアルキット」の販売を仕掛け「新しいことに挑戦して頂くきっかけづくり」を展開してきた。
「高付加価値製品のみならず、技術サービスの提供に、弊社の“「つくる」の先をつくる“姿勢を汲み取って頂ければと思う。今回のインターモールドに出展したCBN工具の新製品SMB200も、この文脈で理解していただけるとありがたい」。
SMB200は、2枚刃のCBNボールエンドミルで、最小では100分の1Rを実現。
「2枚刃で量産に成功したことが差別化のポイント。超微細のRを提供させて頂くことによって、従来、切削加工では考えられなかった、新たな設計に踏み込んでもらえれば」と期待を寄せる。まさに“「つくる」の先をつくる”行為であり、加工例では「SMB200で実現した100分の1Rというサイズで、マイクロレンズアレイをイメージしたサンプルを製作した」そうだ。
日進工具の客層は、金型分野が7割、部品加工関連で2割、その他で1割程。
「日本で残るものづくりは、高付加価値をキーワードに進んでいくと思われるが、小径サイズに強みを持つ弊社としては、精密・微細や高精度、鏡面を志向する、お客様に提供できる製品や技術の開発を続け、日本に残る技術の一翼を担っていきたいと思う」。
PCDRBによる加工例