CFRP加工用「スカットドリル」提案、拡販本格化へ。田野井優美社長に聞く

株式会社田野井製作所

株式会社田野井製作所

スカットドリルの穴あけをを他社製と比較する田野井社長

  • タップ製造を一貫して追求する「TANOIタップ」で知られる、埼玉に本社・工場を擁する田野井製作所を初めて訪問した。
  •  田野井優美社長は、創業90周年の節目の2013年に社長に就任した。切削工具業界で女性のトップは珍しい。
  •  「2002年に入社して、米、加の留学経験などを活かし、輸出入に関連する業務に従事していた。が、若返りの機運が盛り上がってくるなか、2008年に突如、取締役副社長に抜擢され、技術、製造、営業に従事する兄と弟2人のサポートがあるならと、2013年に社長を引き受けた」と言う。
  •  快活で、如才ない‐誰もがそんな印象を抱くだろう。国内外を飛び回る行動力にも定評がある。 2016年はオリジナル工具浸透が利益面に寄与
  •  「埼玉本社では超硬タップとダイス、グループ会社である宮城のミヤギタノイで、ハイスタップを製造している。2016年は、売り上げでは、横ばいで推移したものの、当社のオリジナル製品が市場に浸透し始め、利益面でアップした」。  特長ある切削タップの一例として「シームレスタフレット」を見てみよう。
  •  欠けや油漏れの原因となる「シーム」。先端にエンドミル刃が施されており、正転時にねじ山を盛り上げ、逆転時に「シーム」を除去していく、言わば、ねじ加工と内径加工が同時に行える「逸品」と名指しできようか。
  •  また、新製品では「昨年のJIMTOFでCFRP用のドリルを披露した。先端の刃で穴を切り開いていき、多数の円周刃で徐々に穴を拡大させていくことで切削負荷を分散。バリやデラミネーションを抑え込んでいく」もので、その名は「スカットドリル」。
  •  CFRPの加工に取り組むオペレーターが「バリ・デラミ」で苦慮している。心に滞留していた「澱」を「スカット」なくしていこう、そんな意志を強く感じさせるネーミングと言えるだろうか。 今秋のEMOショーに単独出展、他社とのコラボレーション追求も  海外展示会にも積極的に取り組んでおり、たとえば、今秋、独・ハノーヴァーで開催されるEMOショーにも単独出展を決めた。コマ配置では同業他社とのコラボレーションが追求されるそうだ。
  •  タップを切り口とした、多様な試みは、2017年も実践されるだろう。今号は、そのフォローの端緒としたい。