在庫の充実に努めるオーエスジーベトナム「今期は金型用エンドミル770サイズ強」を在庫。 差別化的にはロングネックタイプの豊富な品揃え
ベトナムの川口忠行社長
オーエスジーのベトナムでの活動は、工具メーカーとしては早く、2004年12月、シンガポールの「OSG ASIA」の駐在員事務所として、ホーチミンでスタート。その後、現地での売買、在庫等の拡充を図るため、2008年に現地法人化し、ハノイに本社を置く「OSG VIETNAM」を設立させた。
「ベトナムでの切削工具市場は、現在、70億円から80億円規模と想定。このうち韓国系のユーザーで60%は占められると思う」と韓国系の影響の大きさを川口社長は冒頭で指摘した。
韓国系と言えば、特にサムソンの影響力が大きく、13万人とも言われる在ベトナム韓国人のベースを成す。
「ベトナムで興味深いのは、工具を販売するマーケットがあり、そこにユーザーが直接、足を運んで買いに来ることが挙げられようか。数が捌けるので、力を割かないわけにはいかない」そうだが、基本的な販売スタイルは、日系ユーザーを中心とする直接販売が65%、卸売で35%を占めている。
「進出当初は、日系工具商社の進出がほとんどなく、地場の商社も金物等を扱う程度だったので、日系ユーザーとの直取引が大半を占めた。が、2012年辺りからは日系商社の進出、地場系工具商社の専門分化が進んできたことで2015年度から日本同様の卸売り政策へ転換を図った次第」と言う。
卸での受注の拡大と対応、日々のデリバリーは、工具商社が中心となるため、メーカーの現地法人としては工具の在庫を厚くすることが志向される。
「当社の東南アジア地域政策の一環として、今年度は金型用のエンドミルの在庫を完備した。一般化している2枚刃、4枚刃、ボールエンドミルのみならず、差別化的な特長を出すため、ロングネックタイプの超硬エンドミル660サイズを含むおよそ700サイズを在庫、金型ユーザーへのニーズに応えられるよう、即日出荷体制を整えている」。
販売する工具種では、やはりエンドミル、ドリルの比重が高いそうだ。
営業拠点は、ハノイほか、ホーチミン、ダナン、バクニンの4拠点、15人で地域密着型の営業を展開する。
また、2012年12月以降、ハノイから南へおよそ50キロに位置するハナム省で再研磨事業も開始。
「タンロン(Ⅰ・Ⅱ)、フォーノイ、ノイバイ、ドンバンといったハノイ近郊の各工業団地をメインに、軸モノ工具の再研・再コートサービスを行っている。5軸CNC工具研削盤の導入による品位の高い再研磨の提供のみならず、再コート用のコーティング炉も設備。コーティングのみの受注や顧客の(工具の)社内再研後への対応のほか、金型やピン等のコーティングも行っている」。
ハノイを中心とする北部は、日系オートバイ関連産業が集積する。
「2016年度のオートバイのベトナムでの販売台数は前年度比7%増の約285万台。しかしながら、2輪産業を除けば、内需型の裾野産業がない。機械加工の今後を展望していく際は、厳しい見通しとセットで、粘りながら商売を継続させていく姿勢を堅持していきたい。今後の投資ブームに乗って成長路線を描いて行ければと思う」と川口社長は締めくくった。
OSGベトナム再研磨工場外観
OSGベトナム再研磨工場内部