海外でもPCD工具のトライアルキットが評判に。鏡面加工通じ新たな市場創造へ。
掲載されたタイ地元紙を手に取る後藤部長
- 日進工具の後藤勇二海外営業部長にタイメタレックス会場で面談、中国やタイでの取り組みを中心にヒアリングを行った。
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- 海外営業部の中で中国の比率が40%と最大らしい。
- 「2013年に香港に会社を設立し、在庫センターを稼働スタートさせたことが飛躍の原動力。しっかりと在庫し、即納体制を築いていく中で、信用と信頼を勝ち取ることに成功したと思う」。
- 精密金型、とりわけスマートフォン関連の仕事で成果を出している顧客からの期待は大きい。それだけに「スマートフォンが更新・販売されるタイミングを常に意識している」が、分野を問わず重要なのは「技術を買っていただく」ことであり「今年から海外でも取り組み始めた鏡面加工の浸透を図るPCD工具の『トライアルキット』が評判を呼んでいる」と言う。
- 「近隣のエリアで見れば、タイ、中国、ベトナムからの関心が高い。プログラミング、ツールパスといった直接の課題のみならず、クーラントや温度管理などの『環境』への配慮を通じて、鏡面加工に挑戦していただく。必要性は必ずしもないものの、加工後の結果をレポートし、技術的相談をさせて頂く中で、新たな市場形成のお手伝いをさせて頂いている」。
- 客先の製品情報をどれだけ早く把握できるか、という点にも関係し「その情報如何で、エンドミルの種類が変わってくる」。
- 今年は、米・IMTS、独・AMB、そしてJIMTОFと秋口に大きな展示会が集中した。
- 「IMTS、AMBでも鏡面加工とその技術力をアピールした。サンプルを手に取って見ていただくと『アンビリバボー!(信じられない)』と驚かれることが多く、磨きか?削りなのか?と尋ねられる。その回数が増えるごとに鏡面加工に対する手応えを感じている。JIMTОFでは欧米人の対応に追われた」そうだ。
- 安定成長を続けるタイでは、タイメタレックス開催前の11月19日、ファクトリーマックスのテックセンターで、松岡技術研究所 松岡 甫篁氏、ソディックタイランドの協力のもと「最先端加工技術セミナー」を開催した。
- 「ハイスピードミーリングセンタ、3D、5軸加工、IoTを身近に感じていただくなかで、私自身は超硬・CBN・PCDの微小径工具の使い方を担当し、セミナーを通じてノウハウをお伝えした。70人の参加を得たが、意見、質問にも熱意が伝わってきた」。
- タイでの売り上げをさらに伸ばしていくべく、増員を図った。「守り」つつ「伸ばす」。常に基本に忠実なのも、顧客に対する安心感に通じていくだろう。
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- 後藤部長は、開発から国内営業、2012年からは海外営業に転じた。
- 「タイでの技術的サポートを意識して、1年にわたって毎月2週間、訪タイした。機械の更新、新設される際に高速マシニングセンタが導入される。0・2R、0・3Rをも使いこなす『微細加工技術』がタイでも生まれてきた」と回顧する場面が印象的だった。