創業時の2011年と比較して、生産するスライドレールや樹脂部品は 15倍へと伸長している(THKベトナム)

THK株式会社(ベトナム)

THK株式会社(ベトナム)

機械のペースに合わせたものづくりを志向する

午前6時、シンチャオ(おはよう)という松田稔貴社長の声が工場内に響き渡る。「2勤」体制を敷くTHKベトナムの朝は早い。

赴任して6年目。松田社長は、工場のスタートに合わせて出勤するというスタイルを今も堅持している。

「特に何か、仕事をする訳ではないが、1人、1人に声をかけながら、工場内の、たとえば、ごみなどが落ちていないか、チェックすることが日課となった。余談だが、この行為は、自分自身を律していくことにも通じる」と言う。

ベトナム工場は、スライドレールと、LMガイドやボールねじなどに関わる樹脂部品を生産している。

現状、工場内では200人を超えるスタッフが働く。

「受注状況を勘案しながら、ほぼ、毎月のように、少しずつ人を採用している。ワーカーの確保には苦労しないが、管理部門のスタッフとなると、難しい面がある」。

測量・測定は基本中の基本であり、図面の読み方も重要‐との生産現場での社員教育の一端に触れてもらったが、生産性向上の取り組みでは、「半自動化」を掲げる。

「スライドレールを担当するセクションでの目標であるが、人のペースで仕事をこなすのではなく、装置や機械のペースで仕事を進めていくことによって生産性向上を目指している」。そのための治具づくりには余念がない。樹脂関連部品ではすでに『無人稼働』を実施している」。

プレス工程での搬入・搬出は、現在、搬入は人の手で、搬出は装置を使って行っているが、ここ1、2年で人が介在しない自動化を目指すそうだ。

品質保証に関しては「次工程に不良品を流さないために、測定器や治具を使ったチェックをはじめ、重量、個数といった『単位の違い』を活用して、工程内検査を実施している。不良が発生した場合、どの部門で発生したか、毎日、データ取りを行う中で、原因究明にも努めている」と言う。

チェックという括りでは、特に重量が大切で、受け入れ・出荷の両検査にも適用、数の間違いによるトラブルは皆無だそうだ。

生産を開始した2011年と比較して、扱う数量は15倍に拡大した。

「今後も増産対応を採っていく。現場の人の平均年齢は23歳。男女比では半々の割合。ベトナム人社会では、年功序列の風習が強いため、当面は若い人の採用に努めていくことになる」。

 
(取材メモ)  今回で2回目の訪問。前回は2011年だったので5年が経過したことになる。生産数量で15倍と聞いて、THKグループ内でのベトナムの役割が格段に高まったことが伺える。ベトナム進出日系企業は、緩慢ではあるが伸びている。だが「大手企業の進出は少なくなっている」(松田社長)ようで、その原因として自動車のような裾野の広い産業がないことが挙げられた。

 

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ベトナムで製造しているスライドレールFBL形

 

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ベトナム工場の外観

 

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ベトナム赴任6年目を迎えた松田社長