利益体質強化のもと、ナサダは航空機エンジン分野を開拓。要望に対する柔軟な対応力、工程・治具設計に対する信頼性獲得がポイントに。
キーとなる工具のひとつがイスカル製。

株式会社ナサダ

株式会社ナサダ

ナサダ生産統括部の松本課長

航空機エンジンの分野で業績を伸ばしつつあるナサダを訪問し、生産財の活用を含めたものづくりの特長や考え方について、中塚社長、松本生産統括部課長に取材しつつ、イスカル製工具との付き合いや今年1月に導入した工具管理システム「MATRIX」についての評価を聞いてみた。

 中塚社長が代表に就任したのが、およそ10年前、1947年の創業から数えて4代目の責任者に当たる。
 「就任早々からの一貫した考え方として、利益体質の強化があり、新規開拓も、この方針に従って進めてきた。結果として、この10年間で農機関連からの撤退など、受注内容に大きな変化をもたらしている」と語る。
 現在の受注の社内構成では、建機部品50%、航空機エンジン30%、ガスタービン関連15%、その他5%‐で占めており「生産効率向上を目指し、10年間で10億円以上の設備投資を行い、併せて職場環境の充実、快適さを追求してきた」到達点とも言えようか。
 この10年間、受注の変化で特筆すべきは、航空機エンジン部品の社内シェア拡大が挙げられると言う。
 「チタンやインコネルなどの難削材加工については、25年以上にわたってノウハウを蓄積。新規、継続案件を問わず、求められるニーズには柔軟な対応力で顧客満足度を高めてきた。特に治具設計、工程設計に対する信頼性は高く、弊社の強みとして、受け入れられるようになってきた」。
 生産統括部の松本課長は「難削材加工においては、工具の選定や切削方法そのものに注意を払っている」として「たとえば、刃物の寿命や境界摩耗等を考慮して、切り込み角を(刃先を)できるだけ寝かせる、切削スピードを上げるといったトライアルが大切になってくる」と指摘する。
 イスカル製工具を使い始めたのは、およそ5、6年前からだそうで「建機部品の加工」からスタートした。
 「当時、建機部品の加工で、切粉が伸びてしまう問題に直面し、取引商社に相談したところ、イスカル製旋削加工用工具LOGIQ4TURNを推奨され、テスト加工を実施。切粉が完全に分断され、直ちに課題をクリアした」と松本課長は振り返る。
 その後、イスカルのキャンペーンに応じて、量産現場でヘッド交換式の「SUMOCHAM」ドリルを採用、ホルダの寿命の伸びに貢献したことも手伝い、使用頻度を高めていく一方、新たに3枚刃のLOGIQ3CHAMのトライアルも始まったほか「同じく建機部品では、溝入れでPENTACUTを5年前から採用している」。
 松本課長は「工具は極力、標準品で対応していきたい。管理がラクに行えるからだが、この点で、イスカルさんには、カタログ製品の更なるラインナップ充実をお願いしたい」と希望する。
 最後になるが、中塚社長は「今年の1月に工具管理システムのMATRIXを導入した。工具管理、発注業務に関わる手間と時間を大幅に削減し、在庫の適正化等に貢献するばかりか、お客様から、弊社が工具を大切にする姿勢が評価され、認識を深めて頂いた。嬉しい限り」と目を細めた。