ユキワ精工「ワークハンドリングホルダ」ユーザー第一号の小林精機(岩手県・滝沢市)
1パレット30個搭載し、所要所間は5時間弱。1日4回載せ替え「1日20時間」稼働達成

ワークを手に持つ佐々木主任技師
前号(6面)に掲載した、医療や半導体分野などで活躍する小林精機では、ツーリングばかりか、今、ユキワ精工が人手不足への対応としてアピールしている「ワークハンドリングホルダ」の活用も図っている。
技術部の佐々木主任技師は「2022年のことだが、ユキワ精工さんから、販売間もない、ワークハンドリングホルダのテスト依頼を賜った。ロボットに代わって、ツーリングと同じ要領で、ワークを自動交換するという新たな提案で、弊社でも自動化の検討を進めていた時期とも重なり、お請けすることにした」と説明する。
設定された課題は「多品種少量の現場で、いかに(効率的に)自動化を実現できるか」。
「初期投資として、ロボット導入は、費用の点でハードルが高いが、ワークハンドリングホルダは、少額で対応できる。しかも、人の単純作業からの解放という、現場の効率的な運営にも期待できるばかりか、加工機内での自動化が可能なため、今ある設備の延長線上に位置づけられている点にも興味を覚えた」。
マシニングセンタが使える現場なら、そのプログラムで動かせるため複雑なロボット制御の知識は不要と言うのも利点だろうか。
佐々木主任技師が、テスト対応に選んだのは、ブラザ―工業のスピーディオ「S700X1N」。
「フロアスペース的に言えば、スピーディオの設置面積内で加工が完結する魅力を備えている」との評価のもと「どのように使うか、使えるか。トライアルを繰り返すなか、2023年から、素材(30×30×50)を(旋盤用)専用治具にセットするための加工に活用することにした」。
ロット数500個にのぼる、自動化の感触を掴みつつ、テストを終えると、本格運用では、インクジェット・プリンタ関連部品、月産2000個への対応としてワークハンドリングホルダを適用することにした。
「従来は、多数個取り用の治具を活用して行っていたのをワークハンドリングホルダにリプレース。1パレットに対象ワークを30個配置することにした」ところ「加工に要する時間はおよそ5時間弱。1パレットに4回分を載せ替えつつ、丸1日駆使して月産2000個の加工に挑んだ」。
このプロセスで、不具合が発生していた、多数個取りの治具について顧慮する必要がなくなったことも付記したい。
体感として「1人機械4台持ち」から「ワークハンドリングを駆使すると機械5台に対応しているイメージ」になったそうだ。2直体制を採っているが、人が機械から離れている間でも、自動で加工が進む。1日20時間稼働を達成したと言う。
最後に佐々木主任技師は「数の多いワークへの対応を考慮しないといけない現場なら、人が介在しない、特に夜間の無人稼働で高い効果が期待できるかと思う」との評価を下す一方「ロット数が少ない場合でも、段取り替えを効率的に行えるようになれば、ワークハンドリングホルダの活用にも幅が広がる」と効率的な段取り替えに着眼した。
ワークハンドリングホルダの可能性を追求する