半導体分野で活躍する阿部製作所。ユキワ精工製グリーンG1チャックで工具寿命2倍の成果獲得。今後は仕上げにスーパーG1チャック・アドバンスも
取材対応いただいた左から及川グループ長、千葉課長、早川スタッフ
精密部品加工を得意とし、半導体に関わる顧客が8割を占めると言う阿部製作所を訪問した。
「請け負う半導体関連は、後工程が多い。一般的にシリコンウエハーをICチップの形に切り分け、基板に固定して配線し、保護材で封止する工程だが、部品単体の加工もあれば、組み立てまで手がけるケースもあり一様ではない」うえに「需要の波が大きく、1年のスパンでも仕事量に大きな差がある。取り引き社数でみればおよそ20社で、長野や京都など多方面に及んでいる」ことも特徴に挙げられようか。
多品種小ロットで、被削材も炭素鋼、超硬、ダイス鋼、アルミ、ステンレス、焼き入れ鋼と多岐にわたり、大きさも400角~600角があるかと思えば、指の第一関節くらいのものまでマチマチで、求められる精度は、通常5μmレベルから、なかには2μm~3μmレベルのものまであると言う。
「当然、設備投資は精度を意識した投資を心がけている。マシニングセンタ関連は、最近では、三井精機工業の立形5軸加工機Vertexがあるが、この分野でメインとなるのが安田工業。YBM640Vが4台、同950Vが1台、YMC430が1台と主要設備を成している」。
因みに安田工業製マシニングセンタの導入は、トップダウンによる、とのことだ。
ところで、ユキワ精工のツーリングを知ったのは昨年で「電極を依頼していた会社で、寸法が出ない事態に遭遇し、色々聞いてみたところ、CAMメーカーさんからユキワ精工製ツーリングを勧められた」と言う。
その後、展示会を通じて、ユキワ精工の営業スタッフと直接、知り合うこととなり「荒加工でも効果が出る」として、グリーンG1チャックのサンプルを持ち帰り、テスト加工することに。
「YBM640Vに装填して300角の焼入れ鋼(HCR60程度)の荒加工で試してみた。驚いたのが切削音。従来のツーリングでは、加工音がうるさくてどうしようもなかったが、静かになった。最もインパクトを受けた点だ」と述懐する。
1時間加工しただけで工具が持たなかったそうだが、グリーンG1チャックを活用すれば、工具寿命は2倍、との結果も得た。その後、YBM950でも試してみたと言う。
「今年の夏にあるメーカーのセミナーでユキワ精工さんの営業スタッフに再会し、グリーンG1チャックの追加導入を決めた。三井精機のVertexにも適用していく考えだ」。
最近では、仕上げ用にスーパーG1チャック・アドバンスを購入。
「生産性が2倍~3倍に上がるものと期待している」としつつ「グリーンG1チャックのHSKのバリエーションをもっと展開して頂けると助かる」との要望も挙がった。
YBM640Vを活用し、荒加工でテスト加工を行った
グリーンG1チャックの活用で工具寿命2倍という成果も得ている
仕上げ用に最近ではスーパーG1チャック・アドバンスを購入した