MOLDINO金子新社長訪問。金型メーカーのデジタル化、自動化の流れをサポート。 掲げる戦略は加工コスト半減狙う「PRODUTION50Tм」
金子社長
切削加工で大きな比重を占める自動車部品関連分野。積み上がっている製品在庫も徐々になくなりつつあるものの「調整局面に入った」とは言い難く、工具業界全体の「きびしさ」に、今も直接、影響を与えている。MOLDINOはどうか。4月に着任した金子社長を訪問し、現状を跡付けてもらいつつ、主要顧客である金型メーカーに対する新たなアプローチや提案等について取材を行った。
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金額ベースで国内38%、海外62%という社内比率だと言う。
「2015年時点では国内54%、海外46%だったが、この間、欧米を中心に海外が伸長し、国内外比率が逆転した。この背景には、自動車向けが63%(2023年時点)と言われる、弊社との関りが大きい金型業界が、最近の10年間で内需の減少、外需の拡大という大きな環境変化に晒されたことが大きい」。
国内の金型産業は効率化が求められる時代となっている。
「従来、単独で運営されてきた金型メーカーさんも、今後は、連携して『総力』で取り組んでいくことが重要になってくるかと思う。そのプロセスでキーとなるのがデジタル化、自動化の流れであり、この点で弊社がコミットできる領域は広がってくると考える」。
核となるのが「PRODUCTION50™」。
「ユーザーの方と一緒になって、最新、最適な工具と加工方法の検討、適用によって、現場の全工程の集約を図り、加工時間短縮を通じて、加工コストの半減(50)を狙っていく。製造費削減はもとより、CO₂削減にも通じる、弊社の根本的な戦略に据えている」。
「50」は、加工コストの半減ばかりか、ユーザーとMOLDINOが力を出し合って初めて達成できる「50+50=100」との思いも込められているそうだ。
顧客ニーズと言う点では「燃料電池に関わるセパレータ用金型を一例に、小物・高精度・微細の加工分野は、今後とも更なる広がりが予想され、対応強化が求められている。この流れのなかで『細く、長く、尖った』弊社技術力への期待を感じている」そうだ。
今年の業界最大イベントであるJIMTOFが迫りつつある。多様な新製品発売が計画されるなかで、発売済みの「エポックハイハードラジアス」「高送りラジアスミルTR4F」の2点を注力製品として挙げてもらった。
エポックハイハードラジアスは、高硬度鋼加工用高送りラジアスエンドミルで、低抵抗のラジアス刃形状の採用によって、切りくずの厚みを小さくするほか、振動抑制外周刃形状によって高速回転時やコーナー部でのビビリ抑制に効果を発揮する。さらに新コーティング「TH3」の採用で耐摩耗性、耐熱性に優れ、HRC50以上の高硬度鋼にも対応可能だ。
一方、高送りラジアスミルTR4Fは、大物金型にも対応する大荒加工の決定版として推奨しており、欠けにくさ(断続切削でも)、擦りにくさ(壁際加工でも)はもちろん「噛み込みリスク低減」(切りくずの中でも)効果を発揮する。
最後に金子社長は「ユーザーの方への直接のアピールだが、成田、野洲の弊社の工場に、是非、足を運んでいただきたい。加工改善を巡ってお互いの知恵を出し合っていければと考えている」と締めくくった。