「加工油の見直しで、ものづくりが一変する」‐と提唱するエバーケミカル工業の八木社長。生産性アップ、不良率低減の見直しに一考を!
油剤性能を調査中
切削加工において、工具寿命や精度、コストなどの点で、重要な役割を果たしているにもかかわらず、俎上に挙げられることの少ない加工油剤。
エバーケミカル工業の八木俊衡社長は「一般的には、何か問題が発生すると、機械や工具に、その原因を求める傾向が強い。だが、我々は、加工油の検討によって現場が改善されてくる例を多数、実践してきた。不良率が極端に減少し、感謝されるケースは多い」。
大手の「大量・少品種」とは違い、エバーケミカル工業では現場から求められる、きめの細かい機能を模索、追求し「細やかなニーズを汲み取って評価いただくことを中心に展開してきた」(八木社長)。直需もあるが、工具商社や油剤販売商社との「二人三脚」で販路を切り拓いてきた面も大きい。セールストークは「コストパフォーマンスの高さ」にある。
顧客の現場で困っている原因を追求して、その答えを見出していくプロセスが販売に結び付くと言ってもいいだろうか。経験値がものを言う世界であり、それ故の「油で変わるものづくり」‐の実践そのもの。結果として「多品種・少量」を志向することになる。
「一カ月にドラム一本以上の要望があれば、オーダーメイド対応を採る。ニーズがある程度、まとまってくれば、製品として、具体化も可能になる」。
現場は様々な加工環境下に置かれる。ニーズを具体化すれば、自ずと多品種が構成されてこよう。 手荒れの悩み解消など作業改善にも寄与 「メカトロテック出展など、機を見てパブリックの展示会にも、参加してきた。来場者からは直接の加工のみならず、(加工油による)手荒れでの悩みを訴えられることもある。事実、『油剤のブレンド』次第で、ひりひり感がなくなり、労働改善に寄与するケースも、数多くある。作業の改善に繋がれば、効率その他にも影響し、トータルな生産性向上に期待が持てるようになってくる」。
現場では、常に生産性向上が至上命令のように唱えられる。ものづくりの企業ならば当然だろう。
「しかしながら、生産性を上げていこうと言う議論の中で、加工油に検討を加えようとの意見がほとんど見られない。油剤の役割そのものが、理解されていないのが見て取れる。加工油のホームドクターを自認するのは、当社は油剤をご使用いただいている工程のみならず、その前後から、問題が発生している前の状態から現在に至るまでのヒアリング及び調査を実施するからだ。また、必要とあれば加工前の材料の調査を行うなど、統括的な対処を行っている」。 サンプル出荷にも極力対応 加工油の役割を理解してもらえるよう、地域での講習会開催も行ってきた。「サンプル出荷」にも極力、対応し、生産性との関わりを理解いただけるよう腐心してきてもいる。
ステンレスや鋳物、アルミ・・・被削材の種類は数多いが、「どういった加工に重点を置くか、丁寧に伺う中で提案を行ってきた」(八木社長)。「経験値の世界」ゆえ、結果を出しながら評価を頂く。地道な活動が確かな歩みを支える。
(取材メモ) 1982年創業。 大手ではやりづらい「困りごとの解決」で評価を得て、ひとつ、ひとつ、製品化し、販売に繋げてきた。創業者の子息で、八木俊衡社長は2代目。42歳になる。リーマンショック後の2009年、売り上げが大幅低下した時に交替したそうだ。
エバーケミカル第2工場3
エバーケミカル本社工場
最新の試験機も導入されている
八木社長