オーエスジー今泉氏による現場への加工上のヒント提案
インターモールド会場で講演する今泉グループ長
- インターモールド(東京)を終え、今泉悦史加工技術グループリーダーに面談、28年間に及ぶ加工現場での経験を通じた示唆に富む話題を拾ってみた。
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- 日本の金型技術は世界トップレベル、工具、CAM、工作機械などを駆使し、すでに技術的には確立されている。新たに手がけることが困難な時代とも言えるだろう。では、工具の世界からは、どのような情報発信が可能か? まず、感覚的なものや経験などのデータベース化を指摘したい。
- たとえば、フェニックスエンドミル「PHX」シリーズを一般的な条件のもと、CAMに落とし込んだ時、実加工で使えない場合が出てくる。膨大なデータから最適条件を選定する必要が出てくるが、ひとつの工具でも使い方は様々に変わる。
- そこで大量なデータをソフトに集約していれば、簡単に加工工程、パスの種類などが選択できるだろう。加工の際の付加価値である。
- 加工で問題になるケースとしては、突出しの長い加工が挙げられる。いわゆるビビリへの対処であり、回転速度を落とす一方、送りは変えないという改善策が採られる。
- 材料の効率的活用から、溶接して肉盛りした被削材がある。しかも60HRCレベルの高硬度。バラツキのある肉厚、加工上でも非常に困難だが、当社からは「肉盛り加工」を促す工具が提案できる。
- 試作ラインで確認した工具を量産の大池工場へ。開発は、常に特殊と汎用の双方をコンセプトに織り込んで進められるということも、ご理解いただきたい。当社の受注内訳では、現在、特殊品と標準品がイーブンの状況にある。 小径にフォーカスする際は、研削技術と、その量産に対する品質が、とても重要になってくる。実加工に合った商品開発を手がける中で、新たなテーマが見出されてくる場合もある。
- インコネル、ニッケル合金などの耐熱合金を被削材として多用される航空機部品。テスト加工の体制を採っているのはもちろん、油剤メーカーとのコラボレーションも追求できる。
- 当社の加工技術グループは、顧客が困っている加工を検証する場であり、アプリケーション含めた課題解決を提供させて頂いている。
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- 今泉グループリーダーは、入社以来、28年間、一貫して加工技術一筋に歩んできた。今では18人体制で、出張頻度も下がってきた、と言うが、顧客の現場をつぶさに見て回り、加工技術の観点から交流を深め、蓄積されてきた、そのノウハウとともに、オーエスジーを代表する人材に数えられる。