従来とは違う、ろ過フィルター「TCF(トランザー・コンパクト・フィルター)販売へ
「ろ過精度は落ちるが、ろ過能力は向上」
中村社長
トランザーフィルター日本の中村社長を訪問し、ろ過機を取り巻く他国の状況を交えてもらいながら、2023年の日本市場での業績をヒアリング、紙面にまとめてみた。
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アメリカ本社をはじめ、中国、スウェーデン、ドイツ、インド、韓国・・・トランザーフィルターのろ過機は、グローバルに展開され、そのミクロンレベルの能力に、世界中から顧客を呼び込んでいる。
「アメリカでは、ビッグプロジェクトの案件が決定され、今期計画を達成し、中国では、土地や人件費の関係からか、大型のタイへの投資案件が多くなってきている」と言う。
米中という巨大な市場で「超微細ろ過」能力への評価が定着し、案件として、まとまっていく。
では、2023年、工具研削盤のユーザーが多い、日本市場での動きはどうだったか。
「工具メーカーの業績の反映でもあるだろうが、9月までは極めて低調に推移し、10月も芳しくなかったが、11月、12月でまとまった受注を獲得。結果から見れば、2023年の受注レベルは、例年の半分程度となった」ようだ。
140円~150円台の円安継続は、国産機に対する競争力を減じている。
「頭の痛い問題。だが、130円前後に落ち着く可能性も出てきた。アメリカでのインフレ抑制のための金利上昇に頭打ち感が出てきているからだ。」。
円安が落ち着いてくれば、競争力、利益面での状況にも変化が訪れよう。
ところで、トランザーフィルターに最近、従来とは違う「ろ過フィルター」が加わった。
「TCFという従来とは違うタイプで、3ミクロンと、ろ過精度は落ちるが、ろ過能力がアップし、価格的にも2割ほど安く提供できる。ドイツで販売されてきたモデルだが、日本でも販売を計画しており、来年からは、顧客にフィルターの選択ができるよう、対応していくことになる」。
2024年は、日本でも案件が国を超えて拡大していく可能性が高まっており「特にタイと台湾で、その動きが出始めている」。
トランザーフィルター日本は現在、5人体制であり、中村社長によれば「質的向上と並んでマンパワーの増強は、引き続き、弊社の課題。ろ過機に対する啓蒙活動を継続して展開しつつ、市場を開拓していくことが必要不可欠」と断じる。
優れたろ過能力は、ワークの面粗度向上、チッピングの抑制に直結するばかりか、機械の長寿命化に寄与し、研削液の節約にも繋がる。加工現場での認識がどこまで進んでいるか。「説得と納得」の世界に、マンパワーは欠かせない。
ろ過機の性能を確認する試験機