新規、リピーター共に好反応のTCF。引き合い件数増加見込むトランザーフィルター日本の中村社長
V2を前に記念撮影に収まる中村社長
トランザーフィルター日本のJIMTOFブースを訪ね、中村社長に今期の足跡の特徴を辿ってもらいつつ、今後の展開についてヒアリングを行った。
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「まだ、閉じてみないとわからないが、今期は過去最高レベルの受注を達成する可能性が高まってきた。特に今年から日本で本格的に販売スタートさせたトランザーコンパクトフィルター(TCF)の反応が良く、リピーターに限らず、新規顧客含め、年内にまとまった台数の受注が期待できるかと思う」。
TCFは、従来製品と比較して、ろ過精度は1~2ミクロンと若干劣るものの、ろ過能力はアップし、顧客にとっては、価格面で2~3割ほどのメリットを享受できる。
「従来からドイツで販売されてきたモデルで、より大きな流路面積、より少ない研削液の消費量、より大きなろ過流量、そして長寿命化といった独創性が追求されている。動粘度に対する感度が高いといった従来モデルの弱点が克服されており、提案させて頂く過程で、特に日本の大手工具メーカーからの期待が高いのも特徴に挙げられるだろうか」。
JIMTOFブースでは、TCFともう1台、磁選機付きの「V2 ICC‐HPN」が出展されていた。V2と言えば、日本でも多くの納入実績のある機種として成長。1ミクロンに及ぶ、ろ過能力の高さによって研削能力は一定に保たれ、ワークの面粗度向上、砥石の長寿命化、メンテナンスフリー等にも貢献し、今や日本でも高評価を得ている。
「想定外だったが、出展機V2ICC‐HPNへの、来場者からの手ごたえを感じており、受注案件へと結びつく予感がする」との見通しも。来場者数も過去最高を記録する盛況ぶりとなった。
ただ、現状に即せば、日本の主要顧客である工具メーカーは、全般的には動きが悪い。
「(設備投資も)総じて8月以降、伸び悩み始めている。足元の状況の厳しさを占う動きとして、受注案件の先延ばし、具体的には来年3月までの『様子見』の可能性も強まってきている」。
楽観は許されない状況に直面していることも事実だ。
「現在、主流の超硬工具からハイス工具への横展開も、今後、追求していく。その意味で、この分野に特化しているI.C.C.Vシリーズの訴求、浸透を図っていきたい。さらに、ギア研削やベアリング研削と、将来的には、向き合う業界の広がりを視野に入れていきたい」。
最後に今回のJIMTOFを振り返って中村社長は「市場におけるろ過機の認識の変化を実感。一方、2025年度の市況の厳しさを予感させるJIMTOFであった」と総括した。
今年から日本でも販売スタートしたTCF。リピーター、新規共に好反応だ