量の拡大と寸法精度の「2倍」の厳しさに対応する航空機部品メーカー、平和産業駒ケ根工場。内製化する 工具製造で、トランザー(米国製)の濾過機に高評価
大坪工場長
- 航空機の機体・エンジン加工分野で実績を積み上げている平和産業・駒ケ根工場を訪問した。
- エンジン加工を手掛ける西工場を統括する大坪工場長は「当現場ではMHIからの受注が大半。仕事量は年々、増え続けており、設備増強と人の拡充を追求しつつ、効率化を図っていくことで対処。最近導入した工作機械では、ヤマザキマザックのE-1250という複合加工機がある。今夏にも、もう1台、追加導入する計画だ」そうだ。
- 汎用性が高く、フライス、旋削を1台でできる複合加工機がマッチする現場だからだろう。
- 生産内容は、エアバスA350向けエンジン、B787向けエンジンで占める。だが、仕事量は単純に拡大しているだけではない。
- 「寸法精度が厳しくなってきている。大雑把であるが、2倍近い。さらなる燃費向上と排ガス抑制を考慮したエンジンを構成していくためには、高精度な部品が必要となるからだ。加工素材は耐熱性の高い難削材、インコネル718やワスパロイが多い。加工のポイントは、経験値と刃物選定にある」と大坪工場長は語る。
- 刃物-平和産業では、工具の内製化にひとつの特色がある。
- 「超硬エンドミルは、ほぼ100%内製化している。径は4ミリから25ミリ。月産本数では数百本単位」と言うから、半端ではない。設備ではワルター製パワー2台、ロロマティック1台、そして工具測定器(ワルター・ヘリチェック)を導入している。
- 「工具研削盤は、フル稼働に近い。トランザーフィルター導入の直接のきっかけは、以前、活用していた濾過機では、機内にスラッジが詰まってきて、翌朝、現場に来てみると自動運転が停止している状態に。スラッジを完全に除去できるレベルに応えられる濾過機として、1年前に設備した」そうだ。
- ワルターのパワー2台に取り付けられている。
- 工具製作を担当する諏訪さんは「導入しておよそ1年。トラブルは一切ない。研削液は常にクリーンさをキープしており、スラッジが完全に除去されていることが覗える。砥石寿命も伸び、『出銭』を抑えることにも役立っている」との評価を下す。 直接、加工に貢献しない、という判断を持つユーザーに再考を促す現場と言えようか。
エンドミルはすべて内製化。月間数百本を生産する
ワルター製パワー2台に対応するトランザーフィルターの濾過機
汎用性が高く、フライス、旋削を1台でこなす複合加工機が現場にマッチする