ZOLLER smile導入で、工具の無駄解消、長寿命化達成、段取り時間3分の1に激減した
ファイブ・ストレート(兵庫県・神崎郡)

何でも果敢にチャレンジする品川社長
父親が残した工作機械を、この人ほど、有効に活用しようとした人はいないのではないか‐。ファイブ・ストレートの品川社長は2013年、32歳の時にものづくりの扉を拓いた。
「服飾の関係の仕事に携わっていたが、父親が廃業して、残されたDMG森精機の立形マシニングセンタ『NV5000』を活かすために起業した。動機は、この1点に尽きる」。
継承が予定されていた訳ではない。不思議に感じたが、不自然とは思えなかった。創業に当たって、顧客がいる訳でもない。まして、自身が直接、機械加工ができる訳でもない。
「独学で1カ月、機械加工の基本を学んだ。治具が作れる会社と連携して、顧客の発掘に取り組み、4年を経た段階で治具づくりを通じて、受注先が15社へと拡大した。社業としても軌道に乗り、治具以外の部品加工にも、単品、量産問わず請けられるようになっていき複雑形状のワークにも向き合っていく」プロセスで、CAD/CAMにも習熟していき「列車のドアフレームの角の加工(2カ所)を受注。見た目重視に加え、納期的にもシビアな経験を積む」「現在も請けているが、バイクのフレーム部品の加工。数量的には120個/日をこなす」加工が増えてくるようになった。
機械はNV5000を徹底して活用し、工具はインターネットやヤフオクで探し出す。
創業から7年後の2020年には、仕事量への対応としてユニバーサルロボット(デンマーク製)を導入。「(顧客に)納品に行く2時間だけの自動化。現場に戻れば、次の段取り前に加工は終えている」。
ロボット導入もそうだが、限られたマンパワーの中で、仕事量拡大に、何よりも求められるのは「効率化」だろう。ZOLLERのsmileとの出会いについても、この考えが伏線となり、量産対応として2023年10月のブラザ―工業・スピーディオとのセット導入時に、工具ロスの解消、試し削りに要する時間の削減、品質への不安解消といった課題等への対処が意識された。
「ロスが出るのは当たり前と思っていたが、ZOLLERさんに相談させて頂くなかで、ロスをゼロにできることを知った」。
たとえば、購入した12・03ミリのドリルを実測すると12・05ミリ、わずかな誤差だが加工が成り立たず工具を無駄にしていたが、smileで工具の寸法を正確に測定し、使用前に誤差を把握できることで「予期せぬ不良やスクラップを回避できるようになった」「試し削りがなくなり、品質への信頼感が高まったばかりか、段取り時間が従来の3分の1と大幅に短縮できた」との成果を語る。
特筆すべきはボーリング加工で、不良率がほぼゼロを達成したことだろうか。
「精度面で見ても、数ミクロン単位の精度が求められる場面でも安心して加工に臨めるようになったほか、たとえば、5μmの穴公差にも対応できる」のみならず「ボーリングバーのチップ寿命が1・5倍に伸長。工具摩耗が的確に把握できるため、交換時期の最適化が達成でき、平均で100穴/チップが150~200穴/チップへと改善された」。
ファイブ・ストレートでは、ゴルフのパターという自社製品も手がけており「わずか0・03ミリの差が約5グラムの重量のずれを生む、精密加工の世界を標榜しているが、smileを駆使することにより、重量のバラツキを大幅に軽減してくれている」と言う。
smileを操作する品川社長