2023年の売り上げは過去最高を記録 フォルマー・ジャパン
量産、特殊対応で高評価の全軸リニアドライブ仕様「VGrind360s」

フォルマー・ジャパン株式会社

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モーサ社長

カール・モーサ社長を訪問し、2024年をどのように展望するのか。2月までの動向を踏まえてもらいつつ、工具研削盤の戦略機種である「VGrind360s」を中心とするアピールポイントのほか、社内の力量アップの面でもヒアリングを試みた。

 2023年の売り上げは、過去の記録を更新したと言う。
 モーサ社長によると「工具研削盤、放電加工機の伸びに支えられた」ことが寄与したそうだが「ショールーム常設の機械を活用し、テスト加工に対応できる体制を整えたことで、大手工具メーカーから、特殊工具製作に関わる信頼性が上がってきた」ことも無視できない。
 ニーズが多様化しているなか、大手工具メーカーでも、特殊対応への配慮は怠れない。
 超硬工具メーカーを対象に実績を積み重ねている工具研削盤と言えば全軸リニアドライブ搭載の「VGrind360s」。高い機械剛性に加え、上下垂直に配置された2スピンドルによる自由度の高さが魅力だ。
 「中径から太径の超硬工具づくりのサポートばかりか、CBN工具にも適用可能。精度はもちろん、圧倒的な加工時間の短縮をもたらし、事例によっては、50%以下を実現。他社との差別化が図られている。先に触れた特殊工具での相談ばかりか、量産の現場からは、ウォーミングアップ時間が短くて済む、といった『量産への手離れがいい』との高評価を得ている」ほか「パレットチェンジャーやローダを選択いただくことで、人手不足に呼応した自動化や無人化にも貢献できる」。
 品質保証の点ではZOLLERの全自動工具測定機「genius」とインターフェースで繋がり、ソフトウエアでは、スイスのソフトメーカー「NUM」を活用している。
 「NUMは使い勝手のいい、自由度の高いソフトとして知られており、特殊で複雑形状の工具づくりでもアドバンテージを発揮する。たとえば、クリスマスカッタが挙げられるだろう」。
 社内体制の強化と言う点では、今年の2月に、工具研削盤の新しいアプリケーションメンバーが入社した。
 「機械の有する優れた能力を引き出していただくためにも、マンパワーの強化、充実は避けて通れない。今後とも、きめ細かなフォローができるよう、対処していきたい」。
 5月の独・シュトゥットガルトで開催される「グラインディング ハブ」では、レーザー加工機が出展され、フォルマーは、研磨、放電、レーザーのフルラインサプライヤーとして、工具づくりを後押ししていくことになる。
 「超硬、CBN、PCDといった材種を問わず、フォルマーで工具づくりが完結する。11月のJIMTOFでも、レーザー加工機を出展する計画で、ご期待頂きたいと思う」。
 モーサ社長は5月でジャパンの責任者となって4年目を迎えるが、ドイツ人ならではの繊細さが目立つ。