ミシマ鋳物工業(大阪府)が緩み止めナットの量産体制構築。ユキワ製スーパーG1チャックに高評価
新谷社長
- 昭和49年、鉄鋳物の加工で創業したミシマ鋳物工業は、2年前に2代目の新谷達郎社長へとバトンが受け継がれ、現場を切り盛りしながら、経営の舵取り役を務める。
- 「従来からある堺市の美原工場では、先代からお付き合いさせて頂いているフレキメーカーからの継手を筆頭に、工作機械用の電装品なども扱う。3割を占めるダイキャスト製品のほか、鋳物の一種であるマレーブル、鉄、そして真鍮などの加工を展開するが、加工業では苦労する請負単価については、交渉の余地が高い」と、長年にわたる技術力に裏打ちされた信頼関係のもと、新谷社長は「ウィン、ウィン」を常に追求する。その姿勢は実に新鮮だ。
- スタッフ数12人を数えるが、うち1人は、羽曳野市の駒ケ谷工場に勤務する。ナットメーカーからの受注に備えて、およそ3年前に新たな工場として手当てし、「転機に備えて」平成27年度のものづくり補助金を活用してオークマのマシニングセンタ「MF46・VA」を導入。量産を意識した、パレットチェンジャー付となる。
- 「流れに乗ってくれば、月産で1万5千個から2万個のオーダーとなる緩み止めナットの生産を展開していくことになる。当然、スタッフも増員を図る計画で、少なくとも3人体制を採っていきたいとの考えがある」そうだ。
- ユキワ精工との出会いは、緩み止めナットの仕事を請け負い始める、その前後のタイミングと重なり合う。
- 「緩み止めナットは鉄、ステンレスの世界。量産となると、機械、ツーリング、切削工具それぞれのベストパフォーマンスを追求する加工法の模索が避けて通れない」と新谷社長は発想する。
- 駒ケ谷工場の立ち上げを前に、ツールを吟味していた新谷社長のもとに、商社との同行PRに来ていたユキワ精工の営業スタッフから「是非、一度、スーパーG1チャックを試して欲しい」との申し出があった。
- 新谷社長は、ファナックのロボドリルにオーエスジーの粉末ハイスドリルを使用し、ツーリングは大昭和とユキワを比較検討することにした。被削材はFCMPという材質だ。
- 「結果は歴然だった。大昭和で1000穴、対するユキワのスーパーG1チャックは2400穴の加工総数だった。ツーリングのみの違いで2・4倍の差。結論が出ない訳がない」。
- 因みにツーリングで大昭和を使用していたのは、ファナックとの相談の末だったそうだ。
- 駒ケ谷工場では、オークマのマシニングセンタにユキワ精工のスーパーG1チャック、そして刃物はオーエスジーのAタップを基本に据えることになる。
- 「オーエスジーのタップは別注でありながら価格が安い。量が出るので、寿命を気にしていたが、刃持ちが良いうえに、どれだけ真円で回っているか、その精度面でも優れた結果が出て、改めて機械、ツーリングとの組み合わせの妙を感じた」と言う。
- 現在、パレットチェンジャーにユキワ製スーパーG1チャックは6本、本機分を入れて合計7本が装てんされている。
- 「緩み止めナットの受注本数が、いよいよ、月産2万個を安定的にこなしていく段階を迎えつつある。ユキワさんには、今度の山善・どて市で10本は購入しておきたいと伝えている。工具の消費を減らし、精度面でも安定した加工が達成できることを、より高次元で検証していきたいとの思いがある」。
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- ミシマ鋳物工業の社名の由来を聞いてみたところ「創業者の現会長の出身が山口・萩市の見島(ミシマ)という小さな離島出身だったことによる」そうで、鋳物は生業の内容になる。新谷社長は48歳。入社15年目を迎えているが、前職はハウスメーカーの現場監督。
- 「職種的には違うが、人にいろんな割り振りやら、段取りなどを指示していると『一緒やん!』とつい叫びたくなる」。結果を出していく作業には共通したセオリーが引き寄せられるのかもしれない。
- 次回、山善・どて市でスーパーG1チャック10本購入へ
パレットチェンジャーに装填された分を含めスーパーG1チャックはすでに7本取り付けられている
量産の緩み止めナット生産に導入したオークマのマシニングセンタ