金子営業本部長に聞く「自動車需要に陰りが見当たらない。下期の需要も牽引へ」CVDコーテッド超硬材種「MC6100シリーズ」 超硬ドリル「DVAS」「DWAE」などの新製品好評

三菱マテリアル株式会社

三菱マテリアル株式会社

金子営業本部長

 

  •   三菱マテリアル加工事業カンパニーの金子営業本部長を訪問し、切削工具を取り巻く環境等を踏まえながら、受注の状況と課題、最適加工の提案、新製品ニュースなどを織り交ぜ、縦横無尽に語ってもらった。

 

  •     ◆

 

  •  2021年度の需要のベースを担うのは、下期においても自動車産業だろう-と金子営業本部長は指摘する。日本の切削工具の最大需要層であることは、改めて指摘するまでもない。
  •  「自動車産業に於いては、春以降の世界的な半導体部品不足に加え、特に東南アジア地域でのコロナ感染拡大によるワイヤーハーネスなどの主要部品の供給減が加わった事で、更なる生産減を余儀なくされていることから、依然予断を許さない状況にある事は間違いない。その一方で、グローバルの自動車需要は依然衰えてはないものと考えており、世界販売台数の予測も依然8500万台程度を維持しているとも聞いている事から、今のところは大きな懸念はないが、引き続き注視が必要だと考えている」。
  •  逆に直ぐには需要が戻らないのは航空機分野だろう。
  •  「需要減の影響が大きい。ただ、これまで難削材加工など、航空機で得た技術は、医療分野への応用や、自動車でもEV化への対応、さらに小物系部品加工でも活かせるのではないかと思う。半導体やロボット需要への期待もある」。
  •  業況では、2020年は、2019年比25%の減少を余儀なくされたが「昨年9月以降、受注が急激に立ち上がってきており、生産が追い付かない状況に直面。納期対応で課題を残しており、生産現場における増員対応、検査などの自動化に着手している。供給体制確立に全力を尽くしている」と言う。
  •  超硬のリサイクルは引き続き注力しており、直需中心に41%を超えている。
  •  「国内の流通を通じて、裾野の広がりを意識しながら、回収率を上げていくのが今後の課題」とも。
  •  新製品では、鋼旋削加工用のCVDコーテッド超硬材種「MC6100シリーズ」が好評で、高速切削領域において、熱的安定性、耐摩耗性が大幅にアップしたMC6115、幅広い切削領域に対して安定加工を実現したMC6125が特に評価が高まっているようだ。
  •  ドリルと言う括りでは、クーラント穴形状を独自の技術で進化させ、吐出し量を従来の2倍以上達成した汎用超硬ソリッドドリルDVAS、自動盤・小型旋盤用超硬ソリッドドリルDWAEに言及があった。
  •  「最近では、摩耗の進行、クラック発生を抑える高硬度鋼旋削加工用コーテッドCBN材種BC8210、刃先振調整式鋳鉄加工用正面削りカッタWSF406Wをリリースした。ともあれ、当社のアドバンテージとして、長年、蓄積されてきた基礎技術としての材料がある。先に述べたMC6115,MC6125などは幾多の製品に活かされている」との差別化のポイントを挙げる。新製品化率は18%だと言う。
  •  最後になるが、昨年4月からスタートしたMICS(ミックス)を取り上げたい。
  •  「お客様の実ワーク加工中の挙動を確認し、取得した加工デジタルデータを分析、三次元解析することによって最適な加工法を提案していくというもの。工具の摩耗診断結果からの工具寿命予測や加工タクトタイム改善など、多様な切り口で改善に取り組む新しい取り組みを始めている」。

 

戦略部の馬場室長補佐(左)と伊藤営業スタッフ

戦略部の馬場室長補佐(左)と伊藤営業スタッフ