DX活動では省人化の構築目指す三菱マテリアル。
業績はコロナ禍前のレベルにキャッチアップ
2023年度は「欧州に統括会社」設立
田中常務
コロナ禍からの負の影響を脱し、2021年から業績は上昇気流に乗ってきた。
「目安としてご理解いただきたいが、2022年度の第3四半期までは、前年同期比売り上げベース10%増で推移。利益面では昨年後半からは円安効果も寄与した。2023年は、欠品や納期面での改善が実現しつつあるなか、マーケットの伸び以上に伸ばしていきたい」との概略と抱負を語りつつ「自動車生産の安定や航空機需要の着実な進展に期待」がかかる。業績は既にコロナ禍前の2019年度レベルには、キャッチアップしていると言う。
需要への刺激と言う点では4年ぶりのリアル開催となった昨年のJIMTOFが挙げられようか。
「弊社のブースにも9000人の来場を見た。リアルの大切さを実感する一方で、工作機械や計測分野などとのシナジーを活かした、トータルなアピールが必要との認識を深めた。たとえば穴加工しながら自動でワークを計測し、機械側で補正していく提案等も大切になってくるかと思う」。
ブースでは多数の新製品が披露されたが、JIMTOF初展示となった、鋳鉄旋削加工用CVDコーテッド超硬材種「MC5100」シリーズ、両面インサート式汎用肩削りカッタ「WWX200」、5枚刃スマートミラクルチップブレーカ制振エンドミル「VQJCS/VQLCS」などの最新製品は特に要チェックだろう。
DX活動の深化についても注目したい。
「省人化ラインの構築といったスマートファクトリー化の実践を各工場で推し進める一方、モノ売りではなく、顧客の課題解決のためのソリューションを提供していきたい。また、生産と販売、在庫のそれぞれの関係をシステム化していくほか、段取りレス、機上計測、搬送・検査の自動化等を駆使して、品質を作り込んでいく試みも実践していきたい」。昨年秋にリニューアルしたウェブサイトでは、会員登録機能を追加し、個別の悩みや相談事にも対応していく。
売り上げの8割近くを成す重要な位置を占める海外で、2023年度は、第一弾として欧州に統括会社の設立に向けて踏み出していく。
「エリアごとのビジネス展開を図り、グローバルトップ3サプライヤーの基盤を構築していく第一歩。日本からハンドリングしていくのではなく、直接、判断できる本社機能を持たせて、ものづくりから技術・サービスの提供、販売までを担っていく体制づくりとなる。利益率の高い市場ゆえ、成功すれば、新たな扉を開いていくことに繋がってこよう」。
技術開発畑らしく、耐熱合金など、難削材への対応強化にも、言及した。
田中常務は1986年、三菱金属(現三菱マテリアル)入社。東京製作所に配属され、92年からは筑波製作所へと異動し開発中心の業務に携わってきた。2019年にはバイスプレジデント・開発本部長就任とともに東京本社へ。2020年に加工事業カンパニープレジデントに就任した。
「先行き不透明感は拭えないが、2023年度は、過去最高レベルの業績達成を目指していく」。