粗材・加工一貫生産を特徴とする中山工業がスーパーG1チャック活用で他社比加工時間10%削減

中山工業株式会社

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取材に対応してくれた中山専務

中山工業の売上比率は、自動車関連が6割、フォークリフトなどの産業車両で3割、工作機械その他で構成される。
 中山専務は「自動車関連のウエートが高いこともあって、コロナ禍でのサプライチェーンの滞りは、生産ラインの停止をまねき、見通しが立てづらく、結果として、受注量減少につながっている」との現況を語る一方で「直近の2年間では、既存製品の(仕事量の)落ち込みを補完する為、EVやFCV、ハイブリッドなど電動車関連部品をはじめ様々な新規受注の立上げに、対応してきた」と新たなトライアルについても言及した。
 被削材ではアルミが多く、ロット的には多品種中少量生産で、数千から1万個単位。汎用性を持たせた「段取り替え」を基本に据えながら、センタースルークーラントや機内自動測定の積極的な活用を図っている点も興味を惹く。
 「当社では(顧客に)形状の提案をさせて頂く機会が多い。粗材・加工一貫生産の特徴が出せるようトータルメリットを考えて検討をしている。ワークサイズが小型化するなか、設備は製品サイズに合わせた、BT30番のマシニングセンタを中心にラインナップしてきた。何秒タクトで製品を作るには、何台の機械が必要か?との発想をベースに、コスト低減への努力も同時に積み重ねている」。
 多品種生産への対応としては、粗材、治具、プログラミング・・・と各工程に応じた「分業体制」を敷く。
 「加工では、切削条件を上げ生産性の向上を図るため、製作刃具の検討・手配も行っている」。
 ユキワ精工との付き合いは、約30年前にキーレスドリルチャックの導入が最初だった。また、ロータリーテーブルもユキワ精工製を多く採用している。
 2019年、新製品の受注に際し、速さや省スペースといった特長に加え、メンテナンスも重視してブラザー工業製スピーディオ導入と同時に、スーパーG1チャックを選択したそうだ。
 「その際に課題としてあげられたのは、面加工の中でも、Оリングの溝加工。内外径、端面の一発加工が要求されたが、Оリングの面粗度を確保する必要があった。ビビリがなく、高送りや高回転にも耐え、高寿命と言う条件を満たさなければならない。スーパーG1チャックを試した結果は、他社比で、振れのなさと加工時間の10%低減」だったと言う。
 振れのなさは、「掴みなおしゼロ」という、セッティングの容易さによる時間短縮に結び付く。「段取り替え」を重視する中山工業にとっても魅力だろうか。
 「ユキワ精工さんにお願いしたいのは、ツーリングのバリエーションを増やしていって欲しいということ。様々なワーク形状・サイズへの対応ができる強みは、他社からのリプレースを加速させると思う」。

オペレーターの西畑係長
オペレーターの西畑係長