メガネ部品加工軸に微小世界支える鯖江市の手賀精工。ユキワ製ハイブリッドG1チャック活躍

手賀精工株式会社

手賀精工株式会社

手賀精工で手掛ける部品の数々(マシニングセンタで加工したものを指さしてもらった)

 

  •  福井・鯖江と言えば、眼鏡作りで、あまりにも有名であり、明治38年、大阪で修業した福井の人が、大阪の職人さんを連れ帰り、その「微細・精密」のページが開かれたと言われる。
  •  「微小な世界を支える技術」を謳う手賀精工も、眼鏡部品の加工で産声を上げ、昨年には創業60周年を迎えた老舗メーカーに入る。
  •  2代目となる手賀栄一郎社長は「眼鏡を組み立てるお客さんからの依頼で、分業しつつ家内工業的に取り組んできた。眼鏡用語でテンプル、ヨロイを繋ぐのに使用される丁番の受注が最も多く、材質は基本的に軽くて丈夫なチタンになる」。
  •  ロット的には、数百個~1万個とバラツキがあるが、オーダー品はマシニングセンタ、規格品は内製化した機械を駆使するそうだ。
  •  「だが、時代の流れの中で、眼鏡部品を巡る競争が激しくなり、およそ10年前から医療機器分野にもトライ。消化器系内視鏡などの医療機器部品づくりが始まり、その後、車載系の電子機器部品も手がけるようになっていった」。
  •  現在の加工品目を整理すれば、眼鏡部品、医療機器部品、電子機器部品、センサーや自動車関連設備部品などで構成され、眼鏡部品は7割とメインを成すものの、特化している訳ではない。

 

  •  手賀精工で設備されている機械は、20番主軸、30番主軸が中心。当然ながら、スギノマシンやエグロ、ファナック、シチズンなどの小物加工向きが多い。
  •  「ユキワ製ハイブリッドG1チャックを知ったのは、10年前くらいになるだろうか。眼鏡部品以外の小物加工技術をアピールする、展示会出展を企画していた時、事前にテストしてサンプル品を製作しようとした。チタン素材に0・05ミリの穴あけを施そうとしたわけだが、工具が折れて、どうしようもない。困っていたところ、専用機にユキワ製チャックを使用していたことが頭をよぎり、メーカーに打診。ハイブリッドチャックを紹介され、試みたところ、工具の折損がなくなった」と言う。因みに工具は微小径ドリルで知られるサイトウ製作所、山本精工両社を使用している。
  •  製造現場でCAD/CAMオペレーターを務める水嶋英樹係長は「現在、ハイブリッドG1チャックは、車載系の電子機器部品の加工で多用している。この分野は、形状が複雑なうえ、納期も厳しいが、急成長を遂げており、今年から20時間体制を敷いて対応している。ハイブリッドG1チャックに切り替えてからは、精度確保もさることながら、ツールマーク(切削痕)も目立たなくなり、外観部品に効果的である。切削の殆どが小径刃具を使用するので主軸回転数は必然的に高回転になり、その結果ミストの発生に悩まされていたが、チャック形状がシンプルになったことで従来使用していたツーリングと比較してもミスト発生が低減した。その意味で、工場の環境を考慮したミスト対策のツーリングと言えるのではないか」と環境への優位性についても言及。「現時点ではハイブリッドG1チャックは、40本くらい活用している」そうだ。
  •  電子機器部品分野は、1ロットは5000個からが多く、現時点で、売り上げの2割近い比率に成長してきている。
  •  製造現場はおよそ40人体制。20年から30年のベテランが多く従事している。
  •  手賀社長は「10年以上前から、機械要素技術展に出展し、仕事を頂く機会にしてきた。今後も、極小、微細、精密をキーワードに、着実に前進していきたい」と結んだ。

 

エグロのマシニングセンタに装填されているハイブリッドG1チャック

エグロのマシニングセンタに装填されているハイブリッドG1チャック

 

工場内の様子

工場内の様子

 

手賀栄一郎社長

手賀栄一郎社長

 

装着状況を確認する水嶋係長

装着状況を確認する水嶋係長