SCPT合金の市場浸透目指す日本特殊合金
切削工具や金型の長寿命化に寄与
SCPT合金の開発に従事した髙田取締役(左)と堤技術課長
切削工具や金型の長寿命化に朗報-日本特殊合金は、炭化バナジウムを使用せずに高強度、高硬度を実現し、耐摩耗性にも優れた特性を備える「SCPT合金」を開発、アピールに努めている。
開発に当たった髙田取締役は「炭窒化チタンでの粒子でピン止めしてWCの粒成長を抑えた超微粒の超硬合金。ナノオーダーのTiO2を粉末配合時に添加し、焼結中に炭窒化させる方法を採った。これにより、超硬合金中に非常に微細な炭窒化チタンを配置することに成功した」とSCPT合金を解説するとともに「昨年のJIMTOF以降、宣伝に努めてきており、これまでのところ、特殊工具メーカーでの採用が目立つ。今後は、量産工具メーカーや金型メーカーでの採用を目指しアピールしていく考えだ」と意欲を見せる。
切削工具では、他社製品よりも逃げ面摩耗が少なく、軸モノだけではなくインサートチップでも長寿命化が図れている。
現在、テストサンプルの提供も行っており「採用に繋がった例だが、リーマの寿命が13倍も伸びた実績もある」と言う。
また、日本特殊合金の技術は、Ni基超硬合金を包丁製作にも適用。
「従来のステンレス包丁に比べ、剛性が高いため、刃を薄くでき、切れ味がいい。そのため、肉の旨味や野菜の甘みを引き出すことが可能になる」ばかりか「耐摩耗性にも優れ、切れ味が長く維持できるメリットもある」。岐阜県関市の刃物メーカーから「KISEKI:」というブランド名で販売されている。
日本特殊合金のNi基超硬合金は包丁にも適用されている