新製品テーパーネックボールエンドミルを披露。高原状態継続する小径需要をさらに深耕していく。

日進工具株式会社

日進工具株式会社

小泉尚史営業部長

「今期は厳しくなるという予測のもと、過去最高の売上を記録した前期並みを目標にスタートした」と、語る小泉尚史営業部長。

 

「上期は失速が予測されたが堅調に推移し、下期には自動車関連の仕事が増えることを期待すると、堅調なまま推移すると思う」と、当初の懸念は払拭されつつある。むしろ、「工具全体としては、良くない状況ではあるが、小径工具のユーザーは忙しい。例えば、自動車の自動化、スマートフォンのコネクター等、精密電子部品に関する需要は多く、着実に伸びている」と、小径工具の需要は陰りを見せない。

 

エリア別でみると、「関東は、自動車関連が激減しているが、医療機器メーカーは堅調。中部は、良くないと言われつつもボリューム自体は大きい。ただし、小径需要はそれほど大きくはない。九州は、熊本地震以降良くない状態が続いている。海外は、円高の影響があるも中国、タイを除いて悪い状況ではない」という。

 

初出展となった今年9月に開催されたIMTS(シカゴショー)では、「医療機器、電子部品メーカーからの引き合いがあった。小径工具の需要もあることが判明した」と、収穫があったようだ。

 

さて、JIMTOFでは、CBNスーパースパイラルボールエンドミル「SSPB220」から新たに拡充した太径サイズを出展。1・5R~3Rまで0・5Rとびでラインナップしている。「直彫り加工に際し仕上げ用の太径がほしいとの需要に応え製造した」そうで、JIMTOFでは、新たな需要を探る。

 

また、新製品としてテーパーネックボールエンドミル「MRBTNH230」を出展。こちらは、既存の3枚刃(MRBTNH345)を超硬2枚刃仕様に変更。「3枚刃も好評だが、2枚刃の方が樹脂型では使いやすいとの評価を頂けた」という。

 

この他、PCDボールエンドミルも出展し更なる浸透を図る。

 

話が前後するが、日進工具は、6月2日仙台にて鏡面加工セミナーを開催。セミナー会場では、ソディック、東芝機械、牧野フライス製作所、安田工業、碌々産業の工作機械メーカー5社が日進工具のPCD工具を使って制作したワークサンプが展示された。セミナーは、仙台からスタートし、9月に大阪、10月には東京・名古屋でも開催。各地域の日進工具ユーザー、関係者が参加。「工作機械メーカーからは、『日進工具のユーザー層の多さ、キーマンの参加があった』と好評だった。ユーザー側も工作機械メーカーが一堂に集まったということで喜んで頂けたと思う」と、よい反響を得たようだ。今後は、九州での開催も予定されている。

 

JIMTOF会期中は、東京コンファレンスセンター・有明にて日進工具による「微細加工のための小径工具の使い方」と題したセミナーを開催する。11月18・19日には、同会場にて各地域のセミナーでワークサンプルを提供した工作機械メーカー5社の新商品セミナーも催される。

 

日進工具は、今年からブランディングにも注力。ロゴデザインの変更、キャッチコピー入りの名刺の制作、総合カタログも一新。また、サッカーチームのベガルタ仙台のスポンサーにも加わり、スタジアムのゴールネット裏には同社のロゴが掲示される。今回のJIMTOFからブースレイアウトも大きく変更されるそうだ。

 

「企業イメージを向上させ、製造業のみならず他の業界にも日進工具を知って頂くためにアピールしていく」と、小泉部長はブランディングの意図を語る。

 

「製造業全体として下降気味が続いているようにも思うが、IOT、自動化という過渡期を迎えており、落ち込みを抑える要因の一つになる。特に小径工具は、IOTや自動化への需要を見込むことができる分野」と、小泉部長は語る。下期の見通しも暗くない。