多かった技術的課題抱えた来場者。日進工具の新製品、XRBH230の話題沸騰。工具寿命2倍以上
宮﨑国内営業部長は工具性能を引き出すノウハウとセットで販売する重要性を訴えた
日進工具のJIMTOFブースを訪ね、宮﨑国内営業部長に来場者の手応えとともに、新製品を中心とする提案内容について取材を試みた。
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図面やワークを持参しての来場者が多かったと言う。
「技術的課題を抱え、『解』を求めて、訪問頂いた方が目立ったと思う。また、海外勢が多かったのも特徴で、東南アジアをはじめ、中国や欧州からも来場いただき、弊社への期待を感じさせた」。
JIMTOFで初披露となったのがSUS420系(J2)焼き入れ鋼用に開発された新製品「XRBH230」。
「精密プラスチック金型づくりで使用頻度の高いSUS420系に照準を合わせ、MPXコーティングを開発。工具デザインの最適化と合わせ、従来比で2倍以上の工具寿命を達成しているロングネックボールエンドミルだ」。
出展コーナーでは誰もが「工具寿命が従来製品比2倍以上」に釘付けとなった。
「参考までに、サイズごとの加工例では、R0・2で首下1の場合(スタバックス・52HRC)は従来製品比寿命差5倍以上、R1で首下6の場合は、およそ2倍の寿命差を安定的に記録している」。
サイズによっては、寿命差5倍以上というのは舌を巻くレベルであり、工具の長寿命化は「付加価値」そのもの。
0・05R~1R。全83サイズとなる。
「バラツキがなく、寿命が安定的と言うのは、精度の安定性に直結する」点を踏まえながら宮﨑部長は「工具の提案を行う際、常に我々は、その性能を引き出す方法とセットで提示させて頂いている。XRBH230のように、1本の工具の持ちが良くなれば、工具交換による段取り工数も削減でき、トータル的なコストダウンに繋がることもアピールしていきたい」。
このほかの新製品では、4月のインターモールド大阪でリリースされた高能率レンズ形3枚刃エンドミル「MLFH330」も見逃せないだろう。
「高硬度鋼加工用の無限コーティングプレミアムの採用で、65HRCまで対応可能。また、従来のボールエンドミルよりもピックフィードを大きく取ることが可能となるため、レンズ形は生産性向上にも寄与していく」。
ピックフィードが大きくなれば、切りくずも大きくなるが、十分なチップポケットを確保し、突発的なチッピング防止にも一役買う。
さらにアルミ加工用に3枚刃の高能率ラジアスエンドミル「AL3D‐345R」や高硬度鋼の仕上げ加工で長超寿命・安定加工を約束するCBNエンドミルシリーズ、切削加工で表面粗さをナノレベルにするPCDエンドミルシリーズ、φ0・01から標準化し超微細加工に対応するマイクロエッジシリーズなど、豊富なラインナップに事欠かない。
従来製品比2倍以上の工具寿命を達成した新製品「XRBH230」