治工具製作で成果上げる出川工作所でユキワ精工スーパーG1チャック真円度の高さ実証
半年間治工具製作360個、工具交換ゼロに
真野専務
治工具づくりで顧客から絶大な信頼を得ている出川工作所(藤沢工場)を訪問し、真野専務、湯本工場長付アドバイザーに、機械設備の活用におけるスーパーG1チャックの役割と評価について取材した。
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出川勝会長が1984年、切削加工を請け負うブローカー的な立場で創業したと言う。
1992年入社の真野専務は「創業者は工作機械の組み立てに従事していたようで、独立時はゼロスタート。知り合いの加工業者に頼んで、仕事を請け負い、継続させていく中で、今の屋台骨となっている大手オイルシールメーカーからの治工具類の受注に成功。社業が軌道に乗っていく骨格を形成させていった」と説明する。
航空機部品加工も手がけるようになってきているものの、今でも大半は治工具製作に特化している。大きさは400角以内だ。
「転機を挙げるなら、やはり、2008年のリーマンショック時に遡る。仕事量が50%以上激減し、その状態が2年間続いた。ただ、従業員は誰一人として会社を辞めなかった」と真野専務は当時を振り返る。
2年間は我慢を強いられたが、2010年以降は、仕事量が急拡大。リーマンショック前と比べても1・5倍程度の伸長を見て、増員に加え、機械設備も増強へと舵を切っていった。
治工具が大半なので、1ロット=1個が基本。月産で2000個を数えるまでに拡大した。
「(機械の選定も)剛性重視の考え方から、スピード重視へ。また、高速で削るという発想への転換に伴い、工具の研究についても従来以上に熱が入っていった」。
ところで、ツーリングについては、もともと他社製を使用していたが、2018年にユキワ精工のインターネットで「ツーリング特集」が企画されていた。
湯本アドバイザーは「剛性よりも、真円度をアピールしており、そのスタンスは我々の志向に合致していた。しばらくはインターネット上の加工動画で研鑽を積んだが、その年に開催されたJIMTOFで、直接、ユキワ精工ブースを訪問。クランプするとき、コレットの締まり方がテーパーになっており、真円度の高さをキープする機構について、教えて頂いた」。
早速、ツーリング以外、同じ条件で、スーパーG1チャックをDMG森精機製Dura Verticalに搭載し、試してみた。
「真円度の高さを証明するかのように、従来と比べ、加工音が静かになり、切削面も綺麗になった。直ぐにスーパーG1チャックを10本、まとめて購入した」。
オイルシールメーカー1社からの受注量の拡大ばかりか、新規顧客も増大、毎年のように機械設備を導入していった。
そして今年3月にはヤマザキマザックのワンチャッキングで多面加工、同時5軸による3次元曲面加工のできる「VARIAXIS」を現場に据えるタイミングで、スーパーG1チャックを60本手当した。
「稼働からおよそ半年も経っているのに、工具交換は一度もしないまま。この間、治工具の製作はおよそ360個に及ぶ。まさに真円度の高さを立証していると言えようか」と湯本アドバイザーはスーパーG1チャックを、そう評する。
スーパーG1チャックを手にする湯本アドバイザー