ユキワ精工「スーパーG1チャック」でドリル、タップ共に工具寿命は従来の2倍に
「量産・リピート品」に特化するマルトミ(埼玉・東松山市)

小林社長(左)工具寿命が正確につかめるようになったと語る
時代と責任者の個性によって、いい意味でマルトミが展開する、ものづくりには、継承性が見出しにくい。
現在の責任者である小林和朗社長は4代目で、創業者は曾祖父に当たるが、大正8年の起業時は時計づくり、その後、2代目となった祖父が部品加工分野に軸足を移すようになり、3代目となった父が事業の拡充を実践し、1ロット1万個レベルの量産にも対応できるNC化を推進していったと言う。
2011年に入社し7年後に責任者となった小林社長は「景気動向を意識しつつ、計画の立てやすい、量産かつリピート品に特化して、新たな受注活動を展開していった」そうで、現在の事業内容は、建設現場で使用される資材などの「昇降用」エレベーター部品、ロボット部品(たとえばアームの軸部品)、医療機器部品、自動車関連のホイールナットなどのアフターパーツで占めており「例外的だが、父が手掛けていた船舶用計器部品が5%程度はある」。
量産かつリピート品に特化する、言い換えれば、ロット数が限定される部品や一過性のものは基本的に手掛けないことになる。
「弊社で常に考慮しているのは、どうやって採算をとるか。切削条件をぎりぎりまで追い込んだり、治具での工夫を試みたり、加工プログラムでの差別化を実践したり、多工程を1工程に集約を図ったり・・・利益追求には可能な限り臨機応変に対処している」。
ユキワ精工のツーリングとの出会いは、6年~7年前に遡る。
「治具づくりに創意工夫を凝らしながら、軸受けの量産加工を手がけていたが、ツーリングの径や長さで満足がいかず、新たなツーリングを探していた、ちょうどその時、ユキワ精工の営業の方の訪問を受けた」ことで「ワークの設計図面を見てもらい、加工内容を伝えて、剛性への配慮から突き出しの短い工具でも対応できるツーリングの選定をお願いした」。
テスト加工では、DMG森精機の「mV‐40m」にスーパーG1チャックを装着。1回の段取りで、3日から4日は稼働させられる量を相手にする。
「振れが抑えられ、ドリル、タップともに工具寿命が2倍以上となり、折損もなくなった」メリットばかりか「それ以上に貴重なのが、(スーパーG1チャックによって)工具寿命が正確に掴めるようになったこと。量産なので何個まで工具が持ちこたえられるか、把握できることは、工程管理の上でも、優位に進めることが可能になってくる」。
最後にメーカーへの要望として挙がったのは、コレットのサイズの豊富化。小林社長は、是非とも「期待したい」とコメントした。
ドリル、タップ共に工具寿命は従来の2倍