「お困りごと相談」から商品を具体化、市場浸透に意欲増す松本機械工業
「困りごと相談」から製品を具体化、成長製品を世に放つ
- 「セットアップ・イノベーション」の名の下、自社製品を「つかむ・まわす・ささえる」の3つにカテゴライズして提案する松本機械工業は、自動段取り替えのAJCチャックをはじめ、省段取り替えのQJCチャック、高速割出ができるロータリーテーブルを中心に展示を行った。
- NC旋盤用電気式チャックシステム(EMA8―10―0―03)は爪ストローク40ミリと超ロングで広範囲に作動し、爪交換なしに異形多種のワークに対応する。把握時のみエネルギーを使用するため、電力消費は少なく、CO2排出量も従来の20分の1と環境に良い。もとより電気式チャックは電気で爪の位置や把握力、動作速度の制御を行うもので、排油がなく、したがって火災のリスクも小さい。クリーンで安全と言える。主軸への熱影響も少なく、高精度加工を可能にしている。昨年秋のJIMTOFで発表して以来、着実に引合いを伸ばしており、「市況感は良好で、これからの主力製品にしたい」とは、ブースでの取材の声だ。
- 一方、NCロータリーテーブル(MDHi406R―400P)は、同社製品従来比66・6回転仕様を採用しており、本来、加工していない時間の「割出時間」を1・2秒から0・75秒に短縮することで加工時間のさらなる短縮を実現した。 ユーザーの声を集め、製品開発に活かす。
- これらは、顧客の要望にこそ製品開発のヒントがあるとして、同社が積極的に取り組む「お困りごと解決提案」から誕生したもので、現場の声を集めた成果であった。
- たとえば、「爪段取り換えが必要になるため、機械が止まってしまう」という「お困りごと」には、次の提案が考えられる。第一主軸で加工した後、第二主軸へ「切断受け渡し」を行い、そのまま最終加工をする。このとき第二主軸側が電気式チャックであれば、異径ワークでも段取り無しで加工が継続できる。段差の大きい飛び越し把握も可能で、夜間の爪交換の段取り替えが無くなり、生産性が向上する。
- 「お困りごと」は他にもあるだろう。ともかく、「これまでにも高速化やハンドリングについて『お困りごと相談』を受け、それを解決する形で製品開発を進めてきた。引き続き『お困りごと』の発掘に努め、個々の対応を一回で終わらせず製品化していく」構えだ。
- 松本機械工業では、今後、更なる自動化、IоTシステム投資のスピードアップが進展していく中で、ロボットのアタッチメント開発・製造にも注力していく方針だ。