微細加工、材料開発で差別化する、碌々ユーザー、ユー・エム・アイ(京都)。図面ベースで年間15万点を受注。

株式会社 ユー・エム・アイ

株式会社 ユー・エム・アイ

取材に対応いただいた植村常務

久御山にあるユー・エム・アイの京都本社工場の恒温湿ルームには、碌々スマートテクノロジーの微細加工機が整然と配置されている。MEGA(6台)、CEGA(3台)、HC435(4台)、Android(1台)、Vision(1台)という多様な微細加工機が据えられ、稼働し、まさに微細の世界を標榜する圧巻のスケールだ。
 ユー・エム・アイは、京都・宇治市で個人操業した植村商会を母体としつつ、1980年に樹脂加工業でものづくりのスタートを切った。
 生産現場を切り盛りする植村豪彦(ひでひこ)常務は「今期で55期目を迎えている。社員数は約260人、売り上げで63億4800万円規模。製造面でのリスクヘッジも考慮し、2012年に九州工場を立ち上げ、今では、「大型部品・量産」を担い、京都本社工場では「微細加工・開発試作」という棲み分けを図っている」「総勢50人以上の陣容で積極的な営業を展開するとともに、200社に及ぶ協力企業と連携し、図面ベースで年間15万点を受注している。素材で見れば半分は樹脂だが、アルミ、ステンレスほか、削れるものは、すべて手がけるのが基本スタンス」と語る。
 また、2016年には「R&Dセンター」を宇治市に開設し、部品加工の差別化事業として材料開発をスタートさせ、ゴムの配合・開発から着手。「現在では、耐熱・耐薬品を考慮した、半導体業界向けの高機能フッ素ゴムの開発に取り組んでいる」そうだ。
 「部品加工のうち6割は半導体分野。碌々さんとの出会いは、ガラエポ樹脂製の基板に200穴~300の穴を開ける加工の仕事が舞い込んだ、2004年頃だったと思う。プリント基板加工機のことで問い合わせたのが最初だった」との経緯に触れつつ「勧められたのが、微細加工機のMEGA。加工ノウハウの実績に裏打ちされた、しっかりとした作り込みに惹かれ、2005年に導入した。その後、コンマ5のピン角の角穴、2000穴を開ける仕事が舞い込み、CEGAを発注し、併せて、微振動に対応した床などを含む恒温湿ルームの整備などを進めていった」と言う。
 碌々との付き合いが始まると、静岡工場に試作の依頼や碌々友の会を通じて、業界の人とも知り合えて、幅広い知見を得る機会にも繋がった。
 「微細加工に関わる情報量の多さはもちろん、アットホームで、こだわりが強いというのが碌々に対する私の印象。メカ的な評価としては、熱変位に対応する主軸のコントロールで秀でていると思う」。
 取引企業は全国に、およそ200社あるが、インターネプコンなどの展示会にも積極出展し、自社の加工内容、材料開発のアピールにも余念がない。


マシニングアーティストに選ばれている扇本さん(左)と大竹さん


圧巻のスケールを誇る「碌々ルーム」