田植え機の加工で売り上げ急増するエコー精機。
キー握るユキワ精工製スーパーG1チャック、グリーンG1チャック
ユキワ精工のツーリングは、田植え機の仕上げ加工で活躍していると語る髙橋社長
エコー精機の創業は1986年、消防車・消火栓に関連する防災機器や船舶関係の部品加工でスタートした。産声を挙げたのが、戸田市だが、20年以上前に現在地のさいたま市南区に移転している。
今回、取材に応じてくれた髙橋潤一社長は2000年入社で、3年前の2020年に2代目となった。オークマで2年間、修業した経歴を持つ。
代表的な加工部品はトンネル内に設置が義務付けられている消火用ポンプやばら積み貨物船のシリンダ関連などだ。
現状について髙橋社長は「生業では、創業当時からの消防、船舶、両分野からの売り上げが今でも大半を占めるものの、将来の伸びしろと言う点で期待できるのが、昨年から取り組んでいる田植え機の分野。すでに売り上げの1割を占めるまでに成長している」と言う。
3つの部品を組み付けて1セット。1ロットは、およそ200セットの受注となる。
「それぞれの部品を試作して、組付けて精度確保を行う。材料は支給で、トライアルの期間として2か月かけた。求められる公差は100分の1以内。高精度が求められるが、そもそも、田植え機を構成する部品なので油漏れは『ご法度』。工具の選定やツーリングの検討も併せて行い、試行錯誤しつつ、結果を出してきた」。
この1年間で1000セットに対応してきたと言う。
活用している工作機械は2007年に導入した40番主軸のオークマ製「mB-55VA」。
「昨年のトライアルの期間で、ユキワ精工と他社製ツーリングを試した。他の条件はすべて同じ。ユキワ精工のグリーンG1チャックだと3つの部品単体での精度出しはもちろん、組付け精度も優に合格。他社製だと、部品単体の精度はぎりぎり及第点で、組付けることで何とか精度が確保できるレベル。お客さんからも、挽き目のきれいさ、組付け時の精度などは、従来とまるで違う、との評価を頂いている」。
田植え機用の仕上げ専用にスーパーG1チャック4本、グリーンG1チャック3本を活用しているほか、シビアな加工が求められる場合は積極的に活用しているそうだ。
「他社製との比較では、挽き目や精度のほかに、工具寿命が2割程度伸びていることが指摘できる」とし「今期の設備計画で、ものづくり補助金を活用してマシニングセンタを導入する計画だが、ユキワ精工のツーリングの比重がさらに増してくる。サイズバリエーションをさらに豊富にして頂ければ、活用頻度がもっと上がってくるはずだ」との要望も挙がった。
エコー精機の売り上げ構成は、消防関連4割、船舶関係で3割、田植え機で1割のほか、自社製の圧着機が2割を占める。自社製品の今後の行方も気になるところだ。
スーパーG1チャック装着の状況
オークマ製工作機械の稼働が目立つ
自社製品の伸びも期待したい