菱高精機製工具再研磨機「イプシロン」でタップの「食付き工程」を自動化
1本10分が5分に短縮 —エーワン精密—

株式会社エーワン精密

株式会社エーワン精密

オペレーターの中澤さん。イプシロンはとても扱い易いと言う

コレットチャック・ガイドブッシュが製造の大半を占めるエーワン精密で、工具関連事業は、本数ベースで再研磨が75%を占め、特殊工具製作は25%になると言う。
 金丸常務は「少しずつではあるが、特殊工具の製造比率が伸びてきている。取引社数は主要100社のうち、上位30社は不動。ただ、顧客の仕事量が減少しているなか、コロナ禍前の2019年レベルには、戻っていないのが現状だ」と語る。
 エーワン精密で再研磨事業がスタートしたのは1999年で、すでに四半世紀が経過している。
 「特殊工具⇄再研磨工具の流れで技術を蓄積しつつ、汎用機を操る手の感覚を重要視しながらも、牧野フライス精機やANCAのNC機を導入、駆使して、精度の安定・確保、納期への対応に配慮してきた」。
 菱高精機が謳う「誰でも簡単に高精度な再研磨が可能」と言う、イプシロンを金丸常務が眼に留めたのは、展示会に出展していた菱高精機ブースだったそうで「あれ?以前のものとは違う」との印象を持っていたと言う。
 「数年前のメカトロテックかJIMTOFだったかと思う。タップの再研磨は、汎用機を駆使しながら複数のメンバーで対応していたが、スタッフが辞めたりして、人手不足に直面。納期の点で遅れが出始めるようになり、イプシロンの存在を意識するようになっていった」そうだ。
そうして今年の5月、タップ(ハイス)のテストピースを菱高精機の名古屋ショールームに持ち込み、試したところ「刃形状の再現性に満足」を得て、翌月の6月には発注、7月には現場に据えられた。
 「稼働から2カ月が経過した。タッチパネルによる対話式で、溝数や刃数をなどの項目を入力するだけ、とても扱いが簡単だ。タップの再研磨加工の『食付き工程』が自動化できるようになり、納期の課題が解消。およそ1週間で対応できるようになり、顧客に迷惑をかけることがなくなった。また、効率と言う点では、従来、1本の対応に10分要していたのが、5分で済むようになった」との導入成果を語るとともに「受注ロット数が増えてくれば、イプシロンによる自動化メリットは大きくなってくると予想している」と期待を膨らませる。
 現在、工具部門のスタッフ数は再研磨、特殊工具製造合わせて34人体制。
 「最近のことになるが、営業専任のスタッフを採用した。結果を出しながら、拡充させていく方針だ」と金丸常務は、攻めの姿勢を強調した。


再研磨するタップをセット


出来上がりのチェック