課題に掲げるのが納期短縮、引き合い多いNeoシリーズでは即納も視野−オーエム製作所
10月のメカトロテックでは小型機「RT」を出展
佐脇社長
2023年度が中期経営計画の最終年度に当たる。
佐脇社長は「この2年間を振り返ると売り上げベースで計画の97%、受注ベースでは計画通り。今期で中計をいかに仕上げていくかが問われてくる」と襟を正しつつ「注残も抱えるなか、課題に挙げているのが納期短縮。設備投資に加え、機械の標準化、在庫管理への配慮のほか、人材育成として、個々人のモチベーションアップを含む階層別教育訓練を実施していく計画」と言う。
納期対応の中でも、特に配慮されるのが、一番、引き合いの多い「Neoシリーズ」で、納期は1年以内、即納も視野に入れていく考えだ。
オーエム製作所の立旋盤は、高級機のVTLexシリーズ、普及機のNeoシリーズ、小型機のRTシリーズに分類され、需要から見た現状の国内外比率は7対3。
「国内は底堅いエネルギー関連(タービン系)をはじめ、産業機械(半導体関連)、造船からの需要が高い。来期からは航空機分野も立ち上がってくると予想しており、期待したいのがVTLexへの引き合い、受注だ。一方、海外は現在、中国が大半で、産業で捉えれば風力発電分野。羽根を組み入れる部分の仕上げ加工でのニーズが高く、Neoシリーズが好評を得ている。先日、北京で開催されたCIMTでは、新規ユーザーの来場も多く、今期も中国市場の手ごたえを感じている」との予想を交えながら「ここ数年来、売り上げ、利益の面で貢献してきているのが顧客の現場を直接、サポートするサービス事業。今後も、外部協力業者と連携を強化して、拡充に努めていきたい」といった地道な活動強化にも注目していきたい。
ユーザーサポートでは、播磨テクニカルセンターが2018年の開設以来、好評を得ており「テスト加工、NCスクール開講など、顧客の現場に寄り添った対応を今後も継続していきたい」と訴えた。
2月に長岡工場で開催された内覧会では、新製品のVTLex3000が披露された。
「4mまでの振り回しが可能で、大型化しつつある、特にガスタービン関連などを念頭に置いている。作業効率と言う点で、強調したいのが超高圧クーラント仕様。最大圧力20MPa、吐出し流量毎分40ℓに及び、切削条件を上げても、冷却能力が発揮され、チタン加工で従来の60分から15分と言う時間短縮を実現。工具の長寿命化にも寄与している」そうだ。
このほか、パレットチェンジャーの高精度化、切粉検知装置も要チェックだろう。
10月には名古屋で開催されるメカトロテックに出展を計画する。
「小型機のRTを予定しており、勢いのある中部市場での評価を得ていきたい。それには実機を直接、見て、触って、感じて頂くのが一番だと思う」。
航空機分野で苦戦を強いられながらも、コロナ禍前の業績を回復している。航空機需要が立ち上がってくれば、その分が付け加わる。楽しみにしたい。