VTLexの研削機能充実、高精度パレットチェンジャーの提案も行うオーエム製作所。長岡新工場は11月末に完成へ。
水田長岡工場長(右)と上田営業本部長
オーエム製作所を訪問し、開幕迫るJIMTOFでの提案、11月末に完成する長岡新工場の役割について、それぞれ上田営業本部長、水田長岡工場長に取材を行った。
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底を脱し、回復傾向を辿っていると言う。
上田本部長は「弊社にとっては、現在、エネルギーと航空機の両分野が2大柱。前者では、太陽光や風力といったグリーンエネルギーはじめ、発電用タービンの需要動向が注目され、後者では当面は小型エンジン、来年度以降は中・大型エンジンに期待している」と語る。
特に発電用タービンについては「加工という切り口では、我々がターゲットとして慣れ親しんでいる航空機エンジンと同じ。補助金を活用する協力工場による更新需要を見込んでいる」。電力需要としては、半導体に大きな影響を与えている生成AI市場も、牽引役として無視できない分野だろう。
JIMTOFでは、VTLex1100Mを出展。人手不足のなか「省人化」「無人化」をテーマに掲げ、VTLexの研削機能の充実などのオプションの見直しや高精度パレットチェンジャーの提案が挙げられようか。
「研削機能では、ホルダの選択肢を広げるといった使い勝手の良さや、着目すべき需要例だが、産業機械ユーザーからの、深穴・内径における研削ニーズを意識している」。
このほかのオプションの見直しでは、ワーク計測機能の充実、砥石の自動計測・自動ドレス化などが指摘された。
「パレットチェンジャー(APC)については、交換精度が問題視されるなか、上面と側面の振れ精度を100分の1に納めることに腐心した。因みに大型立旋盤で100分の1という高精度は業界初となる」。
段取りステーションの改善も視野に入れている。
さらに開発案件の披露と言う点でチェックしたいのが切粉への対応だ。
「高圧クーラントで切粉を分断したり、AIによる切粉検知機能の進化により、工具にからまった切粉の除去にまで対応する。省人化への提案ともなり、オペレーターの多台持ちが可能になってくる」。
ところで、製造面で注目される新工場建設だが、今のペースでは11月末に竣工の運びとなる。
水田工場長は「M5工場と呼んでいる既存工場の長さが100m、これに新工場の完成によって77m分がプラスされ、大型機とVTLexのライン工場の役割を担っていく。NEOシリーズがM4工場、在庫機RT‐915がM1工場でそれぞれ組み立てられる」と機種に応じた、それぞれの組み立てラインが紹介された。
また、新人教育と言う点でも、3工場それぞれに果たしていく役割がある。
「M1→M4→M5という流れで新人社員教育を実践していく。言わば、各工場はスタッフの教育ラインをも形成している」。
昨年から本格的に取り組み始めた在庫機戦略では8台製造して4台の販売実績。「在庫は当然、との声に呼応した対応だが、確かな手ごたえを感じている。短納期の仕込みにも繋がっている」との感想を寄せてくれた。