国内需要が回復。「航空機、エネルギー、造船各分野に照準」。VTLexシリーズの生産担う「M5工場」が従来比2倍に。水田工機事業部長インタビュー

水田工機事業部長
オーエム製作所の水田工機事業部長を訪問し、コロナ禍以降の推移、特に昨年との対比で現状の需要に触れてもらいつつ、訴求していく産業や長岡工場の新たな役割、人材育成などについてインタビューを行った。
コロナ禍が直撃した2020年下期を底に、一時的な乱降下はあるものの、以降、押しなべて回復傾向を辿り、2024年は米中を中心とする「輸出」によって、国内の下振れを十二分にカバーしたと言う。
「ところが、2025年に入った当初こそ、昨年来の傾向を辿ったものの、関税を巡る米中の対立によって、核を成していた海外需要がトーンダウンしていき、輸出が減速。代わって国内が回復基調に転じ始めた。ターゲットに掲げるのは、最先端技術を駆使する業界へのコミット強化で、航空機業界はその典型と言えるだろうか」。
加工効率向上、省人化の追求等を柱としながら、航空機からエネルギー分野、そして造船業界への横展開を水田事業部長は模索する。
「航空機エンジンやガスタービンなどに使用される耐熱合金などの難削材加工でアドバンテージを発揮していきたい。船舶関連では、ガスの運搬からアンモニア、水素といった将来の変遷を射程に入れて対処していく考えだ」。
製造面では、将来を見据え、昨年12月に「M5工場」の拡張工事を終え、機種による、製作上の棲み分けがスタートした。
「M5工場は従来比約2倍の面積となり、高級機、VTLexシリーズの生産を担う。M4工場は主として普及機、Neoシリーズを手がけ、M1工場は、Neo、RTシリーズを中心とした在庫機販売の生産に振り向けている」。
因みにM5工場拡張によって、生産能力は20%アップするとともに、3mクラスの加工ワークにも対応できるようになったと言う。
「米中を中心とする、海外向けの在庫機(Neoシリーズ、RTシリーズ)は、半期で15台から23台へと増強する計画。海外の販売では、納期優先で、在庫があること、そのものが重要視されるからだ」。
かつて中国・風力発電向けでは、在庫機販売が奏功し、ヒットした実績がある。
最後に製造面における人材育成ついて触れてもらった。
「製造業の課題と言えば、人材の育成に尽きる。人材不足の現状を踏まえ、弊社にとっては、現有スタッフの底上げと人材確保を目指していく考えで、M1→M4→M5という流れで、工場経験を積んでもらう」計画を立て「社歴3年~4年のスタッフのステップアップを図っていく」方針だ。
水田事業部長は2022年12月から2024年9月まで、工場長を経験。「自社製品対する信用、信頼を深めた」。