指名買いをさらに強固なものに-インパクトある製品開発に向けて-サイトウ製作所
齋藤智義社長
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サイトウ製作所はJIMTOFを通じて、微小径ドリルと言えばアトム、と言う「指名買い」をさらに強固にしていく下地を意識する。来場者に製品力への認識を深めて頂き、正当な評価を得ていく活動が問われていくことになろうか。
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齋藤智義社長は「ここ数年間、日本のみならず、欧州の展示会にも足を運んでいる。小径ドリルの市場は日本ばかりか、ワールドワイドに存在するからで、しかも電機・電子、医療機器、IT関連、自動車・・・向き合う産業は多岐にわたる。小径工具のみを展示、出展する企業は少ない。この点を差別化の武器にしない手はない」と語る。
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微小で、しかも高精度な穴あけ加工が必要とされるときに「アトム/ATOM」が思い浮かぶ、そんな顧客との向き合い方ができるような関係の構築は、世界市場でも不可欠だと言えようか。
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「だが、日本市場以外で、業界最多の6000アイテムと言うだけでは、商売につながるようなインパクトは与えられない。6000アイテムへの『導火線』が必要となると考えるが、その答えはまだ、明確ではない。現在準備中の『50D』の溝付きドリルは、日本市場では、それなりのインパクトが与えられても海外市場ではどうなのか。JIMTOFは国際展示会であり、日本だけではない、世界に目を向けた顧客ニーズを汲み取っていく場にしていきたい」。
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齋藤社長は、昨年のEMO、今年9月の独・シュトゥットガルトのAMBを視察した。
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「出展の可能性を探る目的があった。欧州の展示会に共通する印象でもあるが、社交場のようなブースの華やかさが目立つ。製品の認知度向上や売り上げのアップ以上のものを展示会に期待しているような気がする。ものづくり企業における付加価値とは、単に『つくる』というプロセスで生まれる付加価値の追求に留まらないのではないか」と言う。
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時短への追求が半端ではない、とも付け加えた。
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さらに齋藤社長から、ヨーロッパ人のものづくりの価値基準に関わる「コストとクォリティーは併記できない」という紹介がなされた。
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「日本では、コストとクォリティーの追求を同列において論じられる傾向にある。しかし、ヨーロッパ人にあっては、2つを併記することはナンセンスのようだ。わかりやすく言えば、値段の安いものに質は求められない」。
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同社は多品種少量受注が基本であり、その中で、いかに利益を確保していくかが問われてくる。製造だけではない。否、むしろ齋藤社長の意を汲めば、営業活動を通じて、利益を生み出すノウハウの構築こそが大切になってくる。その実践の場として、JIMTOFがどのように活用されるか、要注目だ。