創業90周年を経て、リセットした齋藤社長訪問。「面倒を価値に変える戦略は継続」

齋藤社長
「社員全員の結集した力のおかげで、6カ月にも及んだ治療生活に専念することができた」と感謝の念とともに振り返る齋藤社長。
しかも、その結集した力は、単に「社長不在」をフォローしたというレベルに留まらない。
設備投資や賃上げ、JIMTOFでの新製品発表といった重要な案件についても「立派に成し遂げてくれた」と評価し「これも社員一人ひとりの、効率を考えながら、納期への配慮、品質の向上といった日々の努力の積み重ねがあってこそ。利益確保にも結実した」。
齋藤社長にとって、自社を長期間俯瞰せざるを得ない、初めての経験ではなかったか、と思う。
7000アイテムを超える品揃えを長期に渡り安定して供給する為には「面倒を価値に変える」ことが機能してこそ、成り立つ。
「100分の1トビで1本ずつ、何十種類という注文に対しても、利益が確保できる。その結果、働き甲斐や安定性、待遇といった、いわゆる『働きやすさ』にも関心が向けられる余力が持てる」。
働き方改革をひとつの契機に、残業を想定しなくても、従来の待遇が確保でき、そのうえプラスアルファーまでも見据えていく。ここ数年における社長を含む「総意」であり、その地道な一歩、一歩によって「今がある」と受け取った。
「欠員が発生した場合は、自覚的にフォローしていくことによって、増員しなくても会社が回る様になる、結果として、余力が生まれ、開発に専念できるスタッフが生まれた。新製品クロスグルーブの誕生を見るにつけ、意を強くした」そうだ。
今年の2月初旬に退院して、向かった先が、米・ロサンゼルスで開催の医療展「MD&M West」だった。国内外で「アトム」がどのような進化を遂げていくか。引き続き注目していきたい。