「顧客対応力で売上高激増達成」した八尾市の中製作所 シギヤ製円筒研削盤評価

株式会社シギヤ精機製作所

株式会社シギヤ精機製作所

中社長

 

  •  ロボット、工作機械、サーボモーター、金型等、精密部品の切削・研磨を事業内容とする中製作所(大阪府八尾市)を訪問。躍進の要因となった取り組みについて、中偉起社長に聞いた。

 

 

  •  年商8億円。2004年、中偉起社長が就任してから売上高は3倍超に。  「お客様の注文は、断らない、言い訳しない、即断即決もする。当社は製造業だが、サービス業の要素が強い」と語る中社長。困りごとの解決、イレギュラーのフォローといった人でしかできない価値を提供し顧客ニーズに応えてきた。
  •  本社工場には、28台のCNC複合自動旋盤を設備する。大量生産向きの設備だが、1個からでも対応する。
  •  「当社のような規模の会社では珍しい」と紹介してくれたのは、2015年に導入したキーエンス製3D形状測定機。0・1㎛単位の測定ができ、表面粗さや誤差がすぐに確認できる。「お客様には3D画像を見せてチェックして頂く」と、品質面にも力を入れる。
  •  ものづくりの集積地という地域の優位性も大いに活用。「1時間もあれば材料が調達できる」ネットワークを構築し、「今日中に納めてほしい」にも対応する。短納期に対応するため一定の在庫を抱えることも。 「お客様のニーズに応える」を追求し奔走する中で、これらの体制を構築してきた。
  •  「切削から研磨まで」という事業スタイルもその一つ。
  •  研磨工場には、5台のシギヤ精機製円筒研削盤が据えられ、農機、建機、ロボット等のシャフトの研磨が行われている。「当初、研磨は外注していたが、精度管理が困難だった」と、2000年に最初の「GPS‐20」を導入して自社で行うように。2015年には、5台目が設備された。
  •  「年式が新しくなるごとに、改善されている」と語るのは入社8年目のオペレーター、前川伸一さん。「例えば、ボタンの位置。使用頻度の高いボタンは、その位置が変更されるだけで、疲労感が全く違う。わずか数センチの変更だが、ユーザーにとっては大きい。また、危険なボタンにはフタを付けたりと、『使う側の声を聞いている』と実感できる」という。 2011年にはタイ工場を開設。農機、建機をはじめ、家電、自動車ブレーキ等の部品加工が行われている。「海外ではできない小ロットや即日対応という当社の体制を海外でも」との考えの下、地域的な優位性があるタイを選んだ。ここを起点にアセアンでの拡大も展望する。

 

  •  「当社は、人同士の調和、人と機械との調和を大切にしている。お客様、協力会社との関係、機械を活かすための知識や技能がそれぞれの調和となる。この調和が『お客様に応える力』の基礎となっている」。そして、「先代や従業員が築いてきた実績が全ての土台となって今がある」と、感謝の気持ちを忘れない。

 

オペレーターの前川伸一さん

オペレーターの前川伸一さん