「遊休工具をなくそう」との方針に伊東NC工業(東京都・武蔵村山市)がZOLLER製工具管理ソフト「TMS」導入。工具を探す時間が限りなく「ゼロ」に。ツールプリセッタ「venturion」も導入し、不良率低減、工具費節約に直結。
TMS導入で工具探しが激減。仕組みやルール作りの大切さ説く島田工場長
伊東NC工業は、昭和48年の創業以来、一貫して精密金属加工業を生業とするなか、現状では、商用車のパワートレイン系を中心に据えつつ、足廻り部品なども手がけ、他に半導体製造装置関連や金型装置部品などにも取り組んでいる。
島田工場長は「図面や3Dデータによる受注が多く、1ロット10個前後がメインを占めている。ワークの大きさは700×800、加工径ではφ700というレベルのものもある。また、材質はステンレス、アルミ、鋳物が大半だ」との受注概要を説明してくれた。
請ける内容は、特急対応扱いも中にはあるが「基本的には予定された仕事が多く、事前に段取りが組めることが多い」(島田工場長)。
客先からの評価のポイントで強調されたのが「品質保証」で「1993年には、すでに3次元測定機を導入しており、最終製品のみならず、工程間の測定も欠かさず、行って、製品とともにデータを客先に添付。信頼獲得の大きな柱となっていった」と言う。
また、工程集約では、5軸マシニングセンタ導入が大きな役割を果たしたそうだ。
「(ワークを)クランプするにもコツを必要とするなど、ヒトが介在する余地が大きかったが、導入後は、工程集約が進み、段取り替えも少なくなり、加工時間短縮に直結した」。
ZOLLERとの付き合いが始まったのは、およそ10年前になる。
「その頃、開かれた(社内の)改善委員会で『遊休工具をなくそう』と言うテーマが設定された。工具を探す時間、工具を確認する手間、工具発注の煩わしさ・・・要は工具管理に行き着いた訳で、他社製品との比較も行ったが、動作の点や対応できる項目の豊富さなどからZOLLER製工具管理ソフト、TMSの導入に踏み切った」。
とは言え、実際の運用までには1年を要した。日常的に使用する工具とツールホルダは7000種類を数え、その組み合わせとなると膨大な数になったからだ。
「工具の登録に際して、社内ルールや仕組み作りに時間を費やした。日常の作業と併行しての対応でもあり、それなりの労力は伴ったことになるが、工具のケースにQRコードを付して管理できる体制が確立して以降は、工具を探すことがほとんどなくなった」そうだ。
その後、工具管理と連動して、ツールプリセッター「venturion」を検討。
「メインのひとつとなるシリンダーヘッド加工での工具使用本数は多く、しかも似たような工具も決して少なくはない」との判断に加え「総型工具が計測できるようになった魅力は大きい」との評価から、導入へと踏み切ったことで「製品の不良率がぐんと下がり、工具の節約と言う点では、月間で10万円~20万円程度は見込める」との導入メリットに言及する。
最後になるが、伊東NC工業の自社製品「ネジピンゲージ」について、伊東相談役に解説、登場願った。
「ネジ穴位置を高精度の測定するための測定補助具で、10年以上前から販売している。測定方法は非常に簡単で、ワークのネジ穴にネジピンゲージを挿入するだけ」。
2003年販売以来、着実に売り上げを伸ばしている。
7000種類に及ぶホルダと工具の組み合わせは、半端ではない
venturion導入で製品不良率がぐんと下がったと言う池田第二製造チームリーダー