プログラム能力で差別化する匠(山形・寒河江市)。ユキワ精工製ツーリングで工具寿命が1・5倍に。仕事量拡大にはツーリングの活用で。

瀬川社長
省力化機器部品を中心に手がける、2017年創業の匠を訪問した。
創業者の瀬川社長は「寒河江市内の2社からの受注が基本で、多品種小ロットの世界を標榜している。被削材は、鉄、アルミ、ステンレス、チタン、樹脂、そして焼き入れ鋼と、実に多様だが、1ロットは1個、2個からせいぜい10個まで。切削加工による公差は100分の1レベル」との概要を語ってくれた。
1カ月先までの仕事量は読めると言う。
「他社との差別化は、プログラム専属のスタッフの能力の高さにあり、工程管理上の無駄のなさや機械稼働率の高さに表れてくる」。
製造に従事するスタッフは8人。設備はヤマザキマザックの立形マシニングセンタが2台、横形同1台、ブラザー工業・スピーディオ1台。ほかに平面研削盤で黒田精工製がある。
「1直体制で、マシニングセンタ4台は、月間150時間とほぼフル稼働状態が継続している。特に2025年に入ってからの仕事量は目に見えて増えてきており、単価も高い。生産性アップを考慮し、加工条件は、極力、上げていくようにしているが、これは経験値という『財産』にもなる。追い込まない手はない」。
不良率は低く、月に2件程度だと言う。
瀬川社長がユキワ精工のツーリングと出会ったのは、創業前の2016年の勤め人時代。当時、付き合いのあった商社との同行PRで営業マンの方から説明を受けた。
「他社製では、ビビってしまっていたのが、ユキワ精工製に切り替えると、ビビリが抑制され、刃物の寿命が伸び、面粗度が向上。ツーリングでこんなに変わるんだ、って、感想を抱いたものだ」。
匠を運営するようになってからは、2年前に荒加工で導入。ヤマザキマザックのマシニングセンタにグリーンG1チャックを装着した。
「ビビリがないため、加工音が静かになり、面粗度もアップ。工具の寿命も1・5倍は伸びたと思う。弊社では8割方、エンドミル加工なので、その後、スーパーG1チャックも導入して、今では、グリーンG1チャックと合わせ、100本近く活用するようになっている」。
新たにツーリングを導入する場合は、ユキワ製しかない、と瀬川社長は言い切る。
「当面、増えてくる多品種への対応と言う点では、設備機械を増やすのではなく、ツーリングを充実させて、フォローしていく計画。コストメリットを感じつつも、臨機応変な対応力も向上してくるように思う」。
スタッフの林さん
オペレーターであり、瀬川社長の奥様でもある