振れがないスーパーG1チャックで、狙った精度通りの加工を実現(広島・江田島市 呉匠)
DMU 65monoBLOCK導入時にツーリングを検討 1万5千回転でも安定加工
スーパーG1チャックを手にする作田常務
公私ともに転機と言うものは、少なからず訪れるものだ。
創業者の名前を冠した角正鉄工所から呉匠へと社名変更されたのが10年前。その3年後には工場の移転・拡充が行われた。
取材に対応してくれた製造を担う作田常務は「社内公募により、呉のイメージを残しつつ、匠の技を駆使していく企業を社名に表した。請け負う部品加工の仕事が、複雑化、精密化してきたことが大きく影響している」と社名変更、移転の理由を説明してくれた。
半導体製造装置関連部品がおよそ半分を占め、次いで火力・水力発電に絡むタービン関係、残りは食品、自動車といった多様な産業と向き合っている。
「ものづくりの変化で捉えれば、納期が段々とシビアになってくるなかで、弊社では5年前からCAD図面の3Dモデル化に取り組んできたことが挙げられる。モデルを読み込んだ加工データさえあれば、現場スタッフが素早く作りこんでいけるからで、結果的に、短納期、小ロット対応が可能になってきた」と言う。
さらに3年前からはCAMにも習熟し、シミュレーションまで行うようになり「ものを作るハードルが下がったばかりか、ミスの解消にもつながった。さらにCAD/CAMを駆使すればデータが残り、引き継ぎの点でもメリットが出てくる」。
被削材はステンレス、鉄、アルミがほとんどだが、チタンなどの耐熱合金もあると言う。1ロットは10個~50個が大半だ。
設備導入の面に目を向ければ、差別化の観点から、5年前に初めて5軸加工機を導入するなど、変化の波が押し寄せてきた。
「同時5軸の動きに魅入られ、DMG森精機製のDMU 65 monoBLOCKを導入した。この時、ツーリングも試してみたいと思い、スリムで剛性の高いものを探し、YouTube動画で眼に留めたのがユキワ精工のスーパーG1チャックだった」そうだ。
内部の構造を見て直感的にすごいと思い「決め打ち」で径違いのスーパーG1チャックを6本、手当てした。
「150ミリという、突き出し量の長いアルミ加工で従来からのツーリングを試したがビビってしまい、スーパーG1チャックに付け替えると、1万5千回転の高速でもビビらず、安定的に加工ができるようになった」のが最大の魅力だった。できなかった加工ができるようになったことになる。
「因みに弊社では、このスーパーG1チャックとダイジェット工業製のシャンクアーバ頑固一徹、ヘッドとの組み合わせの相性が特にいい」とのことだ。
昨年8月には、働き方改革、人手不足への対応としてDMU60eVoを追加導入した。
「夜間運転向けとして、パレットチェンジャー付きで現場に据えた。工程を集約し、大幅な納期短縮という結果を出しているが、ここでもスーパーG1チャックが活躍している。振れがないので狙った精度通りの加工ができる。評価のポイントはここに尽きる」と振れのない魅力に言及する。
最後に要望に挙がったのが「スーパーG1チャックの長さのバリエーション。もっと豊富にあればいい」。
呉匠で活躍する主力の機械設備がDMUだ