和井田製作所の疋田常務に聞く今後の機械づくり-キーとなるのが、熟練者でなくとも、高精度加工の実現。
取材に対応してもらった疋田常務
「研削盤の新時代~自動化と究極の精度の融合~」をテーマに掲げた和井田製作所のJIMTOFブースを訪問。技術部門を統括する疋田常務に初めて面談の機会を得て、自身の経歴を交え、出品機種を中心に語ってもらった。
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和井田製作所岐阜工場(各務原市)を皮切りに、一貫して技術畑を歩いて今年で37年。超精密製品の代表とも言われるジグ研削盤の組み立てから、疋田常務はその職歴をスタートさせた。
まずは、本紙とも関連の深いチップの外周研削盤、特にその代表格とも言える「APXシリーズ」を取り上げてみよう。本機は国内外に多くのユーザーを持つ和井田製作所のグローバル市場拡大の原動力となったベストセラー機である。
「現在は5軸制御モデルも追加し、従来では難しかった複雑形状加工も可能となったほか、パレットチェンジャー、カメラでの刻印判別など多様な自動化ニーズにも対応している。多品種への対応、サイクルタイムの削減など、常に工程の最適化を図ってきた」との実績に触れつつ「最新のAPX‐30は、同シリーズ6機種目となる。パレット交換装置と移送装置(AMR)を組み合わせた新たな自動化提案や環境負荷低減に配慮した機能を追加しユーザーに新たな価値を提供させていただきたい」と話す。
APXシリーズの販売実績は、国内4、海外6となり、最近では、欧州や北米を中心とする海外での実績も積み上がってきているそうだ。
プロファイル研削盤の深化の方向は、高精度なデジタル投影機の搭載によって、目視計測によるバラツキの排除、スキルレス化、さらには自動化の道を辿っている。
「砥石とワークの自動交換、変種変量に対応する複数台対応、さらには協働ロボットとのシナジー追求・・・いずれも最終的には人手不足にどう対応するかという課題への挑戦となった」。
JIMTOFブースでは、協働ロボットとATC/AWCを搭載した「SPG‐Z1」で自動化提案を行い、「SPG‐XV」では、来場者自身が加工を体験出来る場を提供。「デジタルのメリットを十分感じていただける展示となった」という。
切削工具では、加工の効率化、高精度化で需要が高まってきている分野のひとつにPCD/CBN工具の分野がある。
「DCG―G1はインサートの刃先を高精度、高能率で加工。好評いただいてきたDCGシリーズのリニューアル機で、PCDの加工に耐えうる剛性の高さがポイント」。
最後となったが、疋田常務の出発点となったジグ研削盤の分野からは、前回のJIMTOFで出展された「SJG‐L1」を、カバーを外して披露。
「レンズ金型などをターゲットとする、丸穴の超高精度加工を可能にした最上位モデルで、スケルトンの状態に触れて頂き、弊社の拘りを構造面から体感頂きたかった」。
以上、需要動向と関連付けてもらいながら出展機種の特徴を概観した。では、今後の開発の方向性はどうなるのか。
「基本的な開発の流れは、熟練者でなくても、高精度加工ができる機械づくりと多様な自動化ニーズへの対応だろう。機械とソフトウエアの両面を発展させ対応していきたい」と結んだ。
デジタルプロファイル研削盤「SPG‐Z1」では使用感の体験も