工具サイズのボリュームゾーンに向け、TGR-032をリリースした宇都宮製作所。コンパクト化も必見
宇都宮社長
今回のJIMTOFで宇都宮製作所から「洗練されたコンパクトボディー」と謳われた新製品「TGR‐032」が披露された。ブースでは終始、来場者が絶えなかったが、どのような特長を備えた機種なのか。ブースを訪問し、開発に当たった阿部さんにヒアリングしながら、宇都宮社長に手応えを語ってもらった。
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キャッチコピーに引き寄せると、床面積で「TGR‐250」に比べて20%減になると言う。
「コンパクト化と同時に、機械自体の安定性を意識し、ボールからローラーにガイドを変えて、剛性アップばかりか、工具の面粗度アップを追求したのも特長に挙げられるだろう」。
開発の参考としたのが、高精度で知られる「XGR-DD」とのことだが、同社のラインナップの点で強調したいのが「工具製造のボリュームゾーンに向けて放たれた」ということだ。
「工具対応サイズがφ1ミリ~φ32ミリ。サイズで捉えれば、TGR-016とTGR‐250αの中間に位置し、全体を補完」するが「条件によっては、大径カッタ―(φ200)にも対応可能だ」と言う。
加工範囲で見ると、砥石交換装置が付属してもC軸の旋回範囲を30度拡大させたことがポイントで「球面カッタやバイトといった工具種の加工が容易になった」。
ドリルのネガランド加工の自動化も相変わらず同社が最も得意とする機能で、刃形状をセンサーで自動測定し、複雑な刃形でも対応していく。
また、段取り時間の短縮と言う点では「砥石軸とクーラントノズル軸を自動で同時交換できるようになり、砥石を交換させるたびに必要だったクーラントノズル調整を不要とした」。
さらに熱変位対策と言う点では機械ベッドだけではなくコラムにも、クーラントを循環させる仕組みを採っている。
ソフト面での話題に移そう。
加工プログラムでは、「プロファイル形状が表示された画面から簡単に設定が可能」で「DXFデータを読み込み、直接、加工データに変換できる機能が追加された」点も評価が得られる基準となろう。
このほか、ブースではTGR‐250αをベースマシンとした全自動インサート研削盤も出展され、ロボットを駆使した多様な動きは見学者から質問も多く、軸モノに留まらない、宇都宮製作所の工具づくりの新たな広がりに期待が高まった。
今回のJIMTOFを振り返って、宇都宮社長は「宇都宮製作所の進化の方向性をアピール出来た」との感想を寄せるとともに「手応えあり」との期待を表明した。
質問も活発に行われ、TGR‐032への関心の高さを伺わせた
加工サンプル