特殊仕様機が全体の5割にまで拡大している宇都宮製作所。新製品「TGR‐032」にテスト依頼などが集中

株式会社宇都宮製作所

株式会社宇都宮製作所

宇都宮社長(右)と小柳部長(3月のGTJで)

宇都宮製作所の「看板機種」とも言える、TGR‐250α、TGR‐016αを中心に、客先から特殊仕様ニーズが高まってきていると言う。
 宇都宮社長は「工具の差別化とも絡み、工具研削盤へのカスタマイズニーズが進展するなか、社内シェアで特殊仕様機が5割まで占めるようになってきた。顧客が自らの工場で定める基準に照らすと、仕様にも反映されてくるケースが増え、設計段階から、その特徴を織り込み、具体化できるよう対処するようになってきた」そうで、導入にあたってユーザーも慎重に検討を重ねるため「場合によっては、越年するほどの長期化も珍しくなくなっている」と語る。
 手離れは決して良くないと思うが、特殊ニーズへの対応は「ファンづくり」に欠かせない一面があるのは確かだろう。
 宇都宮製作所と言えば、自動車関連分野で強みを発揮してきた印象が強いが「業況に加え、特殊ニーズの高まりの影響があるのかもしれないが、この間、工具メーカーの比重が相対的に上がってくる一方、自動車関連分野、再研磨メーカーは、比較的落ち着いてきた」ようだ。
 また、工具研削盤を取り巻く最近の注目すべき変化では「ターゲットが切削工具ではなく、部品加工分野、たとえば高精度を要する測定器具部品などへの引き合いや、顧客の求める搬送システムとの連携、特に自動化との関連で協力を求められる場面も増えてきた」。
 新製品という括りで注目度が高い「TGR‐032」。工具対応サイズがφ1ミリ~φ32ミリというボリュームゾーン向けにリリースされた、昨年のJIMTOFで初披露されたが、その後の反応、動きはどうか。
 「難度の高い加工案件のほか、品質保証のためのテストや顧客から持ち込まれたワークピースへの対応、さらには操作性の確認・・・『当たり前にできるか』と言う点も踏まえて、おかげさまで、032に対する期待の高さを実感しつつある」。
 機能面では、砥石交換装置が付属しても、C軸の旋回範囲を30度拡大させたことで「球面カッタやバイトといった工具種の加工が容易になった」ことへの評価が高く、段取り時間の短縮では「砥石軸とクーラントノズル軸を自動で同時交換できるようになり、砥石を交換させるたびに必要だったクーラントノズル調整を不要とした」点は見逃せない。
 このほか「TGR‐250αのインサートチップ研削仕様機も引き続き訴求していきたい。JIMTOFでの手応えでは、特に工夫されたロボットの搬送機構に対して高評価を頂いた」。
 3月のグラインディングテクノロジージャパン(GTJ)では「商談に近い打ち合わせや設備計画の具体的なお話をヒアリングできた」ほか「ドリルはじめ、エンドミルやバイトのほか、インサートチップなど、多様な工具種への対応で実績を上げつつあることもアピールした」。
 250αに016、そして032。TGRシリーズ充実による可能性の高まりに目が離せない。


昨秋のJIMTOFで初披露された「TGR‐032」。テスト依頼集中で手応え