栄工舎新潟工場で活躍する米国製トランザーフィルターV2。ANCA製FX7にセットし、もうすぐ2年。 「1ミクロンの超硬スラッジを着実に除去」(栗林オペレーター)

株式会社栄工舎

株式会社栄工舎

取材に応じてくれた栗林オペレーター

リーマ、カッタを中心とした精密工具製造に重心を置きつつ、標準品の寸法アイテムは4万6000種類に上るという、半端ないラインナップを誇る栄工舎。その「発信源」とも言える新潟工場では、NC機と汎用機を駆使しながら、人材育成と併行した設備投資にも余念がない。工具研削盤の研削性能発揮に必要な濾過機も、そのひとつ。米国製トランザーフィルターの2筒式「V2」が2022年11月に導入され、ANCAのFX7稼働に合わせてセットされ、スタートを切ってから間もなく2年を迎えようとするなか、この濾過装置にどのような評価が下せるのか。オペレーターの栗林スタッフに聞いてみた。

 栗林さんは「2年近くになるが、特に問題はなく、1ミクロンレベルの超硬のスラッジが除去できている。FX7は小径から中径までの工具づくりを担う工具研削盤で、研削油による汚れは少ない方だと思うが、それでも毎日、活用している」との感想を寄せてくれた。
 優れた濾過能力は、ワークの面粗度向上、チッピングの抑制に直結するばかりか、研削盤の長寿命化に寄与し、研削液の節約にも繋がる。
 「トランザー独自の自動逆洗機能によって、超硬紛の混じった研削液をろ過するフィルターが自動洗浄され、常にきれいに保たれる。そのうえ、導入したV2には、汚れたスラッジの掻き出しに使うコンベアーも備えられ、フィルターばかりか、研削液の再利用にも繋がっていく。メンテナンスフリーを実感できる訳で、メンテナンスに最低半日は要することを考慮すると、このメリットは大きいと思う」。
 珪藻土、紙フィルター、遠心分離機、カートリッジフィルター・・・ろ過の手法は様々だが、自動逆洗機能+コンベアーの併用は、スラッジの除去とメンテナンスの点で、他の追随を許さない、というのも、新潟工場からの、ひとつの回答と言えようか。
 「また、操作性については、電源を入れるだけの簡単操作であり、人を選ばない」利点も挙げられた。
 新潟工場では、需要拡大の手応えは、まだまだ、感じられないそうだが、越智社長によると「受注ベースでは、少しずつ、改善傾向が見られ始めている。ただ、ハイスは年々、減少を辿っているのは否定できない」と指摘する。
 かつて、ろ過装置は、加工に寄与することがない、との理由で、設備投資では「後回し」が常態だった。だが、トータルなものづくりを視野に入れる現場では、研削液がきれいに保たれることによる機械本来の性能発揮維持というアドバンテージは見逃せない。


FX7にセットされ、もうすぐ2年が経過する


コンベアでスラッジを掻き出し、クリーンな研削液だけを取り出し、再利用する


掻き出された超硬スラッジ