用途別ミニカッタ—シリーズをはじめカッター分野が善戦する栄工舎 今期の売り上げは前期比横ばいで推移

株式会社栄工舎

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渡辺製造部長が5月から東京に赴任ユーザーを技術的にフォローし、顧客満足度アップへ

5月決算が目前に迫った栄工舎を訪問し、営業サイドを含めた全体像を越智社長、製造・開発面からは星野工場長にそれぞれ今期を振り返ってもらいつつ、創業75周年という節目を迎える来期を展望してもらった。


 今期は前期並みの水準で「着地」の見込みだと言う。
 越智社長は「売り上げベースで前期と同規模となる見込み。落ち込んだわけではないが、浮揚感にも欠け、低迷~復調~回復~下振れと、上下動を繰り返した1年だった」との大枠を指摘しつつ、注目された商材として「アルミ、高硬度、樹脂といった用途別ミニカッターシリーズをはじめ、カッター関係は全般的に動きが良かった」と、カッターの善戦ぶりを語る。
 一方、リーマ関連では、サイクルタイムの大幅削減に寄与する、超高速仕様のフラッシュリーマが、鋼用、アルミ用ともに在庫が揃ったほか、昨秋のJIMTOFで参考出展されたインコネルやハステロイといった難削材用リーマのブラッシュアップが図られ、製品化に弾みをつけている。
 「手堅い商材として、挙げたいのがタップリムーバー(プラス)。破損タップ除去ツールとして、販売から十数年以上が経過している、ロングセラー製品に成長している」。
 一方、星野工場長からは「受注総量でカッター関係が増えてくるなか、全加工機を駆使して、利益面に配慮しながら効率的な生産に注力してきた。特に数の上では、用途別ミニカッターシリーズがロット的にも纏まってきて、今後に期待が持てるアイテムに成長している」とコメント。製造4万アイテムのなかで、本数ベースでは、リーマ6に対し、カッターは4の比重を占めるようになっている。
 また、「新製品効果」という点では、超高速仕様のアルミ加工用フラッシュリーマの反応が良く「まとまった数の受注」を獲得。来期に弾みを付けている。
 設備の面では円筒研削盤の老朽化更新で、大宮マシナリー、ジェイテクトの2社を設備する一方、砥石チェンジャー付きを企図して宇都宮製作所製「TGR‐250α」を導入した。
 「工具製造に当たって逐一、原価計算の見直しを図っており、この点で設備が果たす精度やスピードを正当に評価していきたいと思っている。特に来期からは、利益面に拘った工具づくりを従来以上に心掛け、トップとも相談しながら設備計画を策定していければと考えている」。
 「大異動」として渡辺製造部長が5月から東京に赴任。ユーザーを技術的にフォローしながら、顧客満足を上げていく計画だ。


円筒研を駆使する五十嵐スタッフ


老朽化更新で導入されたジェイテクト製円筒研削盤。精度アップが図られた