一貫体制確立した栄工舎新潟工場。越智工場長インタビュー。

株式会社栄工舎

株式会社栄工舎

越智工場長

  •  前工程を手がけていた広神工場を統合し、旋盤~フライス~熱処理~研磨~検査という一貫体制を確立、10月5日に落成披露祝賀会が催された栄工舎の新潟工場を再訪した11月から稼働スタートし、従来と比べ、どう変わったか、あるいはどう変わろうとしているか。ことし3月に工場長に就任した越智宏晃氏の「横顔」紹介と合わせ、取材した。
  •  栄工舎に入社し、営業部に10年間在職後、2015年7月に新潟工場副工場長として赴任、今年3月に工場長に昇格した。
  •  「新潟工場に赴任直後、営業時代の客先ニーズを汲み上げ、製品に具体化したいと考え、切削テストの可能性の広がりを追求するため、5軸マシニングセンタの導入を提唱した。急を要していた訳ではなかったが、自分の意見が通り、DMG森精機のマシニングセンタを翌年の2016年、工場に据えつけることになった」。
  •  営業時代の10年間、直接、機械を動かした経験はなかった。
  •  「展示会用サンプルやワークサンプルを製作したり、新製品をイメージしていく、開発用にと、実際に加工する経験の積み上げに活用したりした。もちろん、この2年間で、旋盤、フライス、熱処理・・・と関連する諸設備にもひと通り向き合い、研修も兼ねながら、習熟するようにしてきた。今、全般を概観すると、やはり効率の追求、生産性の向上を意識しない訳にはいかないと思った」と言う。
  •  統合された新潟工場には70人が働く。
  •  「前工程と後工程が同じ工場内となったことで、全従業員が、すべての工程を把握できる体制になった。視点を変えてみれば、人による適材適所が見通せることにも繋がってくる。数年来の設備投資によって、納期対応が迅速に行えるようになり、特に納期がかかっていた『細くて長いもの』への対応が格段に上がった。熱処理の自社対応効果も大きい」。
  •  生産余力が上がり、3割から4割アップの受注増への対応は可能になったと言う。
  •  「今後は、既存設備を活かした自動化を進めていきたい」との抱負を語る。
  •  「また、工場を有効に活用するとすれば、営業スタッフによる、受注強化は避けて通れない。その自覚を全スタッフが共有するうえで、紹介したいのが『生産管理システム』。ものづくり補助金を活用し、4年前にシステムとして構築したもので、たとえば、ある営業マンの受注した工具が、どの工程に流れていて、いつごろ納品できるか、いつでも確認ができる。営業だけでなく、全員が確認できるので、顧客への対応にもスピード感が出てきた。工場見学に来られる顧客からも、是非、参考にしたいとの申し出を受ける」。
  •  栄工舎と言えばリーマ、と指摘できるほど、生産量はトップクラスを誇るが、カッター関係も無視できないボリュームが出てきている。
  •  「当社の主力は、今やリーマとカッターで、その比率は6対4。カッター関係は増加傾向にあり、リーマは横ばい。顧客の精度追求の上で、リーマは欠かせないとの認識を持っているが、『伸び代』は少なく、10数年前からカッターに注力してきた理由にもなっている」。
  •  今後、リーマ、カッターに続く、第三の柱とでも言うべき新たな工具の成長戦略を描いていくのか否か。そのキャスティングボードは、越智工場長が握っていくのではないか。期待とともに注視していきたい。

広神工場で前工程を長年、手がけてきた星野亨部長。後工程の打合せに顔を出すと「わざわざ、ご苦労様です」と言われ、苦笑いすることもまだ、あるそうだ

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削試験の新たな対応含め導入されたDMG森精機のマシニングセンタ

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